色彩の子供たち

夢を見ている

一羽の鳥かもしれない

小さな子供かもしれない


色をしっている

極楽浄土の色彩

カラビンカの唄った音色

川のうたかた、一粒一粒が返す色

点描の世界、元素

波が寄せては色をさらい

海の闇と鳴る音と風

黒色の海

浄土を孕み、誰も彼を恨みはしない


ウミネコが紅をさす

たった一対の翼が天を覆う


暗闇で子供は何を思った

自分はこれから夢を見るのではないかと思った

大人たちの忙しなく動く夜も昼も

天無き空に手を伸ばし

大樹が育つまで

再び捧げよう

木よ、大きく大きくおなり

昼に大きな陰を作り、夜に鳥の止まり木となるように

空まで大きくおなり

切り株になったら、小動物が集まれるように

色彩が落ちるまで


夢を見ている

今日のところ、きみは一羽の鳥になるといい

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世界はきっともうすぐ終わる ほがり 仰夜 @torinomeBinzume

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