罪人の白き間
悠 武 (はるか たける)
罪人
私は死んだ。最低な人生を送った後、あっさりと死んだ。
そして今、私は死後の世界にいる。皆が想像するような世界にいる。
地獄だ。
私は地獄に落ちたのだ。
なぜかって? 私は生きている時、大きな罪を多くおかしたからである。殺人 強盗 などやってはいけないことをした。
しかし、罪はおかしたが嘘はつかなかった。嘘だけは気を付けていた。うそつきは地獄に落ちるといわれてたから。犯罪をして、取り調べを受けてる時も正直に話した。だが落ちた。
私は死んで気がついたら、もうここにいた。だから死後の世界はここしか知らない。天国みたいなところはあるかわからない。
この地獄は赤い太陽に照らされ、あたりは赤で広がっている。歩いていくと、イガイガした山が見えたり、どす黒い建物が見えたりした。今まで見たことのないものだらけで、好奇心がくすぐられた。地獄にいるのに。
さらに進んでいくと、大勢の人が列になって並んでいた。ひとがいた。さっきまでひとりでいたので、少し安心した。
列に近づき並んでいる老人に声をかけてみる。
「あのー、この列なんですか?」
「知らんのか。地獄パンフレットを見なかったのか?」
そんなものがあるのか。
「ここで地獄の受付の為に並んでいるのじゃ。この先に閻魔がいる」
そうか、ここが受付する場所か。列に並ぶことにした。
30分ぐらいたち、結構待っていた。暇だ。あの人と話すか。私は再び老人に話しかけた。
「なんで地獄に落ちたんですか?」ちょっと失礼だが聞いてみる。
「わしは嘘をつきすぎたんじゃ 息をするようにうそをついた」
そういう人もいるのか。
「でもわしは認めんぞ。地獄に落ちるようなことはしてないんじゃ。後で抗議してやる」
確かにうそをついたら地獄に落ちるといわれていたけど、そんなのダメだろ。罪を犯した人が落ちるべきだ。
「で、お前は何で落ちたんだ」 老人が聞いてきた。
「強盗殺人をしてしまいました」
私は言いたくなかったが答えた。
後ろに並んでいた女性に何で落ちたか聞いた。
「私はね、地獄に望んで落ちたの」
え。
「今まで感じたことのない苦痛を味わってみたいと思ったことはないかしら?私は思ってるわ。私超ドMだから、地獄に落ちて苦痛を味わいたいと思ったの」
変わった人もいるもんだな。それもそうか。ここは地獄である。私も変わっている。目的の為なら何でもした。
少し経つと受付の順番が回ってきた。私は衝撃を受けた。受付を担当していたのはなんと小さな女の子だった。
「あのー、あなたが本当にエンマ大王ですか?」私がそういうと
「はぁ、なめてんのか?俺が閻魔に決まってるだろ!まさか俺をサイズで判断したのか?クズが!」
なっ、なにーーー?こんなかわいい顔して! ギャップがすごい。
「ふん。まあいい。お前はこれからものすごい痛みを味わうのだ。覚悟しとけよ」
急に気分が下がった。私は少し反省しているが、罰はうけたくない。
「お前はこれからコースを選べ。a,b,cコースがある。まあどれもきついがな、ガハハハッ」
またまたそんなのあるのか。地球の世界みたいだな。
「aコースは肉体的苦痛を与える。bコースは精神的苦痛を与える」
最悪だ。どちらも選びたくない。cもきっとつらいだろう。
「cコースは本当に罪を償いたい奴の為のコースだ」
なんだそれ、楽そうなコースだ。いやいや、罪を償えるのか?それならcをえらびたい。
「cでおねがいします」
「やはりな、お前はそう言うやつだ。まあいい、cコースで決まりだな」
どういういみとおもったが、聞かなかった。
私は言われた通りにcコースのの入り口まで来た。ほかの人たちはaかbに行っている。なぜだろう? まあいい、入るか。
入口のドアを開け入ると、そこには予想をしてなかった真っ白い世界が広がっていた。どこを見ても白だ。ここは本当に地獄なのか?
「ようこそ罪人の白き間へ」
白い服を着た天使とみられる人がいきなり現れ私に言った。罪人の白き間?それは何なのか。
「よく来てくれましたね。ここに人が来たのは久しぶりです。cを選べるのは限られた人のみですから」
限られているのか。
「あなたはこれからある人の体験をしてもらいます。罪人の白き間があなた様専用にかわるので 目をつぶってください」
天使がそういった。体験? どういうことだ?
「さあ早く! 目をつぶってください」
私は恐る恐る目をつぶった。そしたら私の記憶が消え、ある人物の記憶が入った。
私は須賀太郎、50歳。妻と二人で貧乏な田舎暮らしをしている。少ないお金で生活して、ご飯は外に生えてるつくしなどで我慢していた。
昔から貧乏なわけではなかった。私が若いころは食品工場を経営していた。経営は順調だった。しかし、商品の異物混入が発覚し、工場の閉鎖に追い込まれた。
私は多くの人に謝罪をしたが、許されなかった。
それから工場はつぶれ、私は借金を返済するため、貧乏な生活を余儀なくされた。
そして10年間この生活をしていた。私はこの生活にまだ耐えられたが、妻はもう限界で、うつ病になってしまった。
どうにかしなくては。何かいい案がないか考え1週間、あることを思いついた。それはかつての経営仲間の人達にお金をもらうことだ。そんなことは人としてだめだ。だが妻の辛い顔を見るのはもう無理だ。やるしかない。
私は早速行動に出た。以前一番関係が良かった田中に頼んでみる。だが、
「頼む!どうかお金を」
「だから何度も言ってるだろう、そんなあげる余裕ないって。それにひととしてだめな事だろ。なんでそんなこと頼むんだ?」
「妻が貧乏で苦しんでいるんだ」「そんなこと言ったって、帰った帰った」
昔から田中は優しい奴だが金には厳しかった。他をあたることにした。
1ヶ月後、もうかれこれ30人に断られた。妻はもうすでに限界だったが、私も限界になった。もうほとんどあきらめていた。自殺することも考えた。次で最後にしよそんなおもいで、富永家の前に来た。
家に入り、富永さんと話した。
「あのー、えっとー」
私は緊張して頼めずにいたら、富永さんが
「あなたのことはきいています。お金が欲しいんですよね。ですがそれは出来ません」
やはりな 私はがっくりして、帰ろうとした。その時、
「待ってください! あなたには私の工場の幹部になってほしいのです!」
え。
「あなたはお金が欲しいため、プライドを捨て多くの人に頼みましたよね? あきらめず行動したらしいですね。そのこころのつよさがすばらしい! あなたみたいな人うちの工場にほしいです」
私は信じられなかった。本当に?本当に?
「幹部になってくれますか」
私は泣きながら「はい」と答えた。
それから私は安定した暮らしができるようになった。妻のうつ病も治り、借金の返済も順調に進んだ。こんなことになるなんて思わなかった。私は幸せだ。
だが、順調に生活をしていたある日、最悪のことが起きた。
パリン! と大きな音が鳴った。私は駆け寄るとガラスが割れていて、そこに人がいた。
「誰だ!」
私がそう叫んだ瞬間、胸をナイフで刺された。そして間もなくして私は死んだ。
私の記憶が戻った。
「あなたには須賀太郎さんの体験をしてもらっていました」
罪人の白き間にいた天使が言った。
そうか、わたしは・・・
「分かりましたか?」 天使が私に聞いた。
「はい、わかりました。須賀さんを刺したのは私です」
そう、私が生きているとき罪を犯したといったが、その罪の一つが須賀さんの殺害だ。
私はお金に困っていた。だから金を得る為、強盗殺人をした。目的の為なら何でもした。その時は別に悪いとは思はなかった。
だけど知った。須賀さんもお金に困っていたということを。あきらめずやっとの思いで手に入れたお金を奪い そして殺した。
須賀さんの事情を知らずに、私は大きな過ちをおかした。刺された時の痛みを知った。
「あなたは今何を思いますか?」
「私は罪を償いたい。苦しみを味わって償いたい。だけどそれだけじゃ償いきれない どうすればいいのかわからないです」
「なら須賀さんに会ってみませんか。須賀さん来てください」
須賀さんが現れた。
「須賀さん・・」
「私を殺した人、私はあなたのことを恨んでる。生まれ変わっても恨んでる」
「申し訳ない、本当にもうしわけないことをしました。くるしんでつぐないたいです。私を殺してください、須賀さん」
「私はあなたのことが嫌いだ。だからあなたのような人にはならない。殺さない」
「じゃあ私はどうやって罪を償えばいいのかわかりません」
「反省して次の人生罪を犯さず生きてくれ。私が言うことはこれだけだ」
そう須賀さんはいいその場から去っていった。なんて優しい人を殺してしまったんだ。
「あなたは生まれ変わることを選びますか?」天使がそう聞く。
「生まれ変わって立派に生きたいです」
それから私は100回生まれ変わり、やっと人間に生まれ変わった。そして罪を犯さず生きた。
私は昔自分の目的の為なら何でもした。つまり自分のことしか考えていなかった。だけど須賀さんを体験して他人のことも考えて行動するべきだと知った。
次の人生も立派に生きる。そう胸に誓い 歩き出した。
罪人の白き間 悠 武 (はるか たける) @takerutakeru
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