エピローグ
琉生は、藍子の生涯を物語として執筆した。別に出版しようとか、そんなことは考えていなかったが、自分も年老いていく。藍子のことを忘れていってしまうかもしれない。そう考え、どうしてもまとめておきたかったのだ。
その物語は、やがて琉生から勇哉へと引き継がれた。
勇哉と咲良は、時間を見つけては、それを何度も読み返した。それは、勇次郎も同じだった。藍子というひとりの女性が生まれ、育ってきた記録がそこにはある。
天真爛漫だった少女は、やがて、人のためだけに生きる人生を歩むことになる。そして、天国へと旅立つまでが丁寧に書かれているその物語。
鎌倉家の古いしきたりを、何代先になってもいいから改善していくべきだと考えた、勇哉と咲良。そして、勇次郎。
この物語は、やがて、鎌倉家にずっと引き継がれていくものとなった。
ひとりの女性が人生をかけた物語は、多くの人の人生の助けとなっていくのだ。それを知った藍子は、きっとこう言うだろう。
「私の人生は最高の人生だった」
と。
〈完〉
最高の人生 あかり紀子 @akari_kiko
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