第2の試練「白雪姫」(6)
ラビーはお城を見上げ、高さ50メートルくらいある、真っ白壁にワンポイントのようにブルーの色が塗られ、まるでシンデレラ城にそっくり。
王妃はいったいこの城のどの部屋にいるのか。
その時、ラビーのスマホに、AIアリスおばあちゃんからLINEが届き。サーモグラフィアプリを追加したと書かれ、サーモグラフィアプリを実行すると。お城の人物たちのサーモグラフィ映像が映し出され、王妃の居場所を見つけ出し、ラビーは辺りを警戒しながら、お城に潜入を開始した。
走り出したラビーは、家来に気づかれないように、ていうか、あまりに足が速く家来に一切気づかれずに、あっという間に王妃の部屋の近くに来た。ここは4階くらいの高さにあたる場所。
ラビーは石壁に隠れ、王妃の部屋の扉の前には、見張り役の家来が1人いる。家来に気づかれずにどうやって王妃の部屋に入るか。
その時、ラビーのスマホにAIアリスおばあちゃんからLINEが届き。そこには作戦が書かれていた。
正義のリングに音を閉じ込め転送し。ピンポイントスピーカーのように、あたかもその場所で音が鳴ったかのように思わせ。見張り役の家来をその音がする方に注意を向けさせ、その隙に部屋へ侵入する作戦。
小説の中のアリスは作戦を開始し、猫の鳴き声が聞こえてきた。見張り役の家来は、猫の鳴き声がする方に注意が行き。見張り役の家来がラビーに背を向けた瞬間、その隙に扉を開け、王妃の部屋に潜入した。
すると、王妃の後ろ姿が見え、鼻高々に笑う声、窓の外を見ている。ラビーは近くにあったベッドの影に隠れ。王妃は、等身大を映す大きな鏡の前に立ち、鏡を見ている。
「これで、いまいましい白雪姫はいなくなった。この世で一番美しいのはわらわ。鏡の女王のわらわだ。この国はわらわの物のだ……」
鼻高々に笑っている王妃。
ラビーはこの光景に、あれが本当に国民を第一想い、王を慕い王助け、心優しい素晴らしい女性だと言うの。まるで邪悪に満ちた顔、あいつに似ている。それに、鏡の女王って何。やはりお姉ちゃんの言うように王妃は操られている、あの鏡に。ラビーはそう思った。
アリスの作戦とは、王妃が操られている証拠を押さえ、その証拠をスマホで動画撮影すること。どうやってスマホで撮影するか、堂々と撮影すればいい。相手はスマホなんて知らない。すべてはラビーの演技力にかかっている。
この作戦に、計画性があるような、ないような。何か行き当たりばったりって感じ。そう思いながら、ラビーはアリスの作戦を実行することに。
この状況を見ると、どうやら白雪姫がまだ生きているとは気づいていない。
すると、ラビーはいきなり王妃の目の前に現れ。驚く王妃を前にして、ひざまづくラビー。
「王妃様に至急申し上げたいことがあります!」
「誰ですかあなたは!?」
「王妃様! 白雪姫はまだ生きています。鏡でお調べを」
突然、得体のしれない者に白雪姫は生きている、鏡のことを言われた王妃は、動揺し、思わず鏡を見た。
すると、くすんだ鏡の中から邪悪の顔をした女性が現れ。
「白雪姫が生きている!? そんなバカな、わらわの操り魔法が利かないはずがない」
鏡には、ガラスの棺に入れられた白雪姫が映しだされ、鏡の女王は。
「……これはいったい、どういうことだ!? 仮死状態!? そんなバカな、何故、毒リンゴが効かない。王妃を操っても無駄、所詮人間ということか……」
突然笑い出した、鏡の女王。アリスの思った通り、王妃は操られていただけだった。
ラビーは立ち上がり、鏡を睨んだ。
「あなたを絶対に許さない!」
「何が、許さないだと!? このウサギの化け物が!」
「化け物!? 化け物って言いましたね!? 失礼な! 私は化け物じゃない! あなたこそが邪悪の化け物よ!」
「わらわを化け物扱いしたな!? いいでしょう。お前もあの王妃のように操ってやる。王妃は用済みだ」
すると、その場に立ちつくしていた王妃は、力が抜けたようなにその場に倒れ込んだ。どうやら、操りの糸が切れたようだ。この時、ラビーに変化が。
「……私を操る!? 私を操るって言いましたね!? やれるものならやってみなさい……! あなたなんかに私は絶対に操られない! やれるものならやってみなさい!」
渾身の想いで啖呵を切ったラビー。鏡の女性がわめいている。
「何故、操つれない。あいつには心の隙がないっていうのか!? あの光はなんだ……?」
ラビーの背に正義のオーラが放たれ。
「私を操る!? 100万年早いわ! この正義の光りがある限り、あなたを許すわけにはいかない。この所業、非常に罪みが重い」
その光景にひるむ鏡の女王。ラビーの右手に光るは、正義の光。
「この正義リングの名において、あの鏡に取り憑きし者を成敗する。お願い、あの鏡を元の鏡に戻して! 正義のリング、行けー!」
ラビーは右手を突き出し、手のひらから光の輪を放ち、光は透明な球体になり、鏡を包み込んだ。
すると、鏡の女王はわめきだし、鏡の女王は一瞬にして消え。くすんでいた鏡は輝きを取戻し、元の鏡へと戻った。
ラビーの能力が全て戻り、安心したのか、ラビーは急に力が抜け、その場に座り込んだ。
しばらして、ラビーは大事なことを思いだした。王妃の謝罪がまだ残っている、誤解が解けない。
ラビーは、気を失っている王妃を起こすと、目の前のラビーに驚き。ラビーはここへ来た目的を話し。王妃は、鏡の女王に操られたせいで10日間の記憶がない。そして、鏡に映る黒い衣装を身にまとった自分の姿を見て驚き。ラビーの真実を語る目を信用した。
その時、タイムリミット5分前のアラームが鳴り。王妃を抱えて走れるけど間に合わない、焦るラビー。
すると、小説の中のアリスからLINEが届き、画面には。
「何焦っているの!? 深呼吸しなさい。あなたにはあれがあるでしょう」
言われた通り、ラビーは深呼吸をし、あれとは何か、考え、思い出し、瞬間移動という手があった。一度行った場所には瞬間移動できる。一度見た場所も同じ。ラビーは王妃の手を握り、王妃は目を瞑り、2人は瞬間移動した。
ラビーは目を開け、辺りを見渡し、無事に小人たちの木の家に着き。この時アリスは、ラビーを信じ、不安や焦りなどない。しかし、頭のいい小人は、懐中時計を見て、何故か、焦っている様子。この焦りはいったいなんなのか。
タイムリミット1分前。
ラビーは王妃に目を開けるように言い。目を開け辺りを見て驚く王妃。ラビーは、小さなドアをノックし。
「小人さん、真犯人を連れて来ました」
ドアが開き。頭のいい小人が王妃を見て驚いている。
王妃は、頭のいい小人に白雪姫のいるところに案内して欲しいと言い。残りの小人たちも一緒に来てほしいと言うと。頭のいい小人は王妃を庭へ案内した。
庭には、ガラスの棺に入れられた白雪姫、失敗作の毒リンゴによって眠っている。
庭にみんな集まり、いったい何が起こっているのか、動揺している小人たち。
そんな中、王妃の目には涙が。王妃は鏡の女王に操られていたことを話し。小人たちに、大変迷惑をかけ、申し訳ありませんでしたと謝罪した。しかし、あまりにも衝撃的な真実を受け止めきれない、小人たち。
その時、頭のいい小人は、アリスとラビーのところに行き、2人を犯人だと誤解をしていたことを謝罪した。
すると、そこへ王子御一行が通かかり。アリスはこの状況を王子に説明し、王子は白雪姫を抱きかかえ、白雪姫は眠りから覚めた。
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