第2の試練「白雪姫」(2)

 ルークが姿を消し。アリスとラビーは、『白雪姫』の物語の中にいた。

 小人の住む森の中でアリスは何か考えている、と言うよりブツブツ独り言。

「どういう意味なの!? お前ならどう完結するって、わからない……」

 クリアー条件は、白雪姫と王子が出逢えれば完結。それ以外の完結を求める理由がわからないアリスは、ラビーに『白雪姫』の物語ってどんな物語なのか聞くことに。


 一方、姿を消したルークは、夢の城の王の間にいた。そこには、いかにも王の椅子といった感じの椅子に、平然と座っている闇の女王。

「ルーク、お前いったい何を企んでいる!?」

「女王様、言っている意味がわかりませんが!?」

「とぼけても無駄! わらわが知らないとでも思うの!? 操り魔法が解けたこと」

「流石女王様。全てお見通しってわけですね。私、女王様に寝返ることにしました」

「わらわに寝返る!? それは賢明な判断。どうやらお前も石にはなりたくないようね」

「当たり前じゃないですか。この世の中に石になりたい人間なんていませよ」

「確かに。では、わらわに寝返ったと言う証を見せてもらう」 

「わかりました。但し、あいつらをどう料理するか。そのことについては、私に一任にしてもらいたい。そして、この城に招き入れ後は、ご自由にどうぞ」

「わかった。もし万が一わらわを裏切ることがあったら」

「わかってます。石にはなりたくないので」


 これはいったいどいうことなのか。ルークの突然の裏切り。

 闇の女王は魔法で作りだしたもの凄く大きな鏡で、森の中にいるアリスたちを映しだしていた。


 一方、ルークの突然の裏切りを知らないあの2人は。

 アリスはラビーから『白雪姫』の話を聞き。ルークが言っていた、「お前なら、どう完結する」の意味がわかり。


 あとは、私たちが犯人だと誤解している小人たちに、真犯人は王妃だと教えなければならない。そうしないと誤解は解けない。

 ただ、どうやって7人の小人たちに捕まらずに誤解を解くか。これって、まるで鬼ごっこね。私は小人たちには捕まらない。だって私の足は、100メートルをジャスト9秒。ラビーは3秒って言ってたけど。そこ、なんか悔しいのようね、張り合ってどうするの。

 でも、逃げてばかりいても、7人の小人たちに真犯人は王妃だと教えることはできない。逃げれば逃げるほど私たちは疑われる。かといって捕まるわけにはいかない。どうすればいいのか。ぶつぶつと独り言を言いながら考え込んでしまったアリス。


 アリスの隣にいるラビーも何か考えている。どうやら、この試練のクリアーよりもルークが何故こんな試練を与えるのか、そっち方が気になっている。

 すると、ラビーの耳に人の声が聞こえ。その声が聞こえる方に目をやると。1キロ先に大きな木が立っている。そこには小さな窓があり、まるで木が家になっている感じ。

 その時、その窓からこちらを見ていた者がいる。もしかしたら、あれが小人の家なのか、そう思ったラビーは、1キロ先の大きな木の所に行くことを決め。2人は歩き出した。


 先頭を歩くラビーは、辺りをキョロキョロと確認しながら小人の気配を感じていた。2人は、しばらく歩いていると。

「ラビー、ラビー、聞こえる!? お姉ちゃんよ」

 ラビーはその声に、突然立ち止まり。後ろを歩くアリスもつられて立ち止まり。

「ラビー、どうかしたの?」

「……」

 ラビーは何かに気づき、ズボンのポケットに中に手を入れると。

「えっ!? 何でこれが……!?」

 ポケットから取り出したのは、スマホ。それを見ていたアリスもズボンのポケットに中に手を入れるとスマホが入っている。

 この2人のスマホは、寝る前にアリスの机の上に置いていた。それなのに何でここにあるのか。困惑気味の2人。

 その時、ラビーのスマホにメールの着信音が鳴り。ラビーはメールを読み、後ろを振り向き。

「お姉ちゃん、スマホを持って手を上に挙げて、後ろを向いて!」

 突然の指示に、素直に従うアリス。2人して、右手にスマホ持ち、手を上に挙げた。

 すると、2台のスマホから。

「闇の女王、聞いてますよね!? 私の声、覚えてますよね!?」


 闇の女王は、王の椅子から立ち上がり。そのそばには、ルークが。

 アリスたちがいる森は薄暗くなり、闇の女王は大きな鏡を睨みつけ。

「その声は、アリス小説の中のアリス! やはりこの世界に来ていたか!? お前さえいなかったら、こんな屈辱は味あわなかった。いまこそ、わらわの本当の力をみてあげる! そこを動くじゃないわよ!」

 怒り心頭の闇の女王。

 その時、ルークが闇の女王の前に立ち。

「女王様に申し上げます! これはあいつらの罠です! 何の策略もなく、のこのことあのアリス小説の中のアリスが姿を現すとは思えません!」

 それを聞いた、闇の女王は我を取り戻し。

「……そうか、そういうことか。まさかがあるということか!?」

「はい、その通りです女王様。この城から女王様を引きずりだすつもりかと」

 闇の女王、平常心に戻り。

「わらわとしたことが、うかつだった。ルーク、お前を信用しよう。わらわに寝返ったことを」


 この声が駄々漏れしていた森の中、アリスは。

「寝返った!? どういうことなの? ルークさん。私たちを裏切るつもりなの!?」

 大きな鏡に映るアリスを見ているルーク。

「裏切る!? 何を言っている。長い物には巻かれろ、って言葉あるだろう。そういうことだ。そうだ、アリスにいいことを教えてやる。この城では私は無力だ。この城では全ての能力を無効化する力が働いている。冗談じゃない、誰が石になってたまるか。アリス、この城に来るのを楽しみしている、せいぜい女王様を倒す策を考えることだな。無理だけどな……」

 ルークは、鼻高々に笑っていた。

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