第2の試練「白雪姫」

第2の試練「白雪姫」(1)

 アリスの『シンデレラ』を読んだラビーは、未来に行った時、アリスが話してくれたシンデレラの内容と同じだった。

 お姉ちゃんは、楽しそうに物語を書いていた。やはりお姉ちゃんは小説家になりたいのか、ラビーはそう思い。記憶が消されても、潜在能力がそれを物語っているようで。


 ところで、ルークが手のひらを広げ、右手を挙げ、正義のリングで作り出されたこのシールドによって、ルークにかけた操り魔法が解けたことは、闇の女王に気づかれてはいない。

 この技、ラビーと同じようにルークも小説の中のアリスから伝授され。ルークは、小説の中のアリスの2番弟子。ラビーは1番弟子。守りの技に関してはルークが上を行っている。

 小説の中で、闇の女王を石に変えたのは小説の中のアリスとラビー。あの時、ルークの手助けもあったが、まさかの逆転劇。小説の中のアリスのアイディアで、2人の合わせ技でダブル正義のリングを繰り出し、闇の女王を石に変えた。何故、石に変えたのか。石になって反省しろ、ということ。

 このフィールドにいる以上は、アリス達に勝目はない。ラビーの能力は封じられ。おまけに、肝心の小説の中のアリスが行方不明ときている。

 このままではノートを取り戻すことができない。仮に、ノートを取り戻しても、アリスの消された記憶を取り戻さない限り完結はできない。完結は消された記憶の中にある。まさに、八方ふさがり。


 とにかくノートを取り戻さないと小説の中に戻ることはできない。どうすればノートを取り戻すことができるのか、ルークは考えていると。あることに気づいた。

 それは、このフィールドにも弱点があるのでは。それを裏付けるものとして、ルークにかけられた操り魔法が解け、あの技が使えたこと。ここに打開策があるはずだと、ルークは考え。

 もしかしたら、このフィールドは円形状になっていて、その中心には闇の女王の城、夢の城があり。即ち、中心部は魔法力が強いが、中心から遠ざかるごとに魔法力が安定しない。だったら、何故、ラビーはあの技が使えないのか、それがわからない。とにかく、中心部がどの程度魔法力なのか、かなり危険だが、まず今の闇の女王の能力を知る必要がある。このフィールドでも闇の女王からノートを取り戻すチャンスはきっとあるはず。ルークはそう考えた。

 問題は山積みの中、ルークは2人に、今から操り魔法がかかった振りをし、残された試練を続行する。そのことを闇の女王の悟られないようにする為に、暴言を吐くこともあるから、そこ辺りを演技しなさいと言い。


「そこの2人。次の試練を言い渡す。次の試練は『白雪姫』」


 第2の試練『白雪姫』

 この物語の主人公の白雪姫は、王妃により毒リンゴを食べさられ。ガラスの棺に入れられた白雪姫は、7人の小人が見守る中、毒リンゴを食べさせた犯人を捜していると。リスの証言により2人の容疑者が浮上した。その容疑者とは、白雪姫が倒れた後、その場を逃げるように立ち去る、アリスとラビーが目撃されていた。


 この試練のクリア条件は、この誤解を解き、白雪姫に王子を会わせ、物語を完結させること。制限時間はなし。

「アリス、お前ならこの物語どう完結させる!? 7人の小人に2人とも捕まったら石になる。せいぜい面白いショーにしてくれよ!」

 ルークは指をパッチと鳴らし、姿を消した。


 さて、この2人これからどうするのか。既に、試練は始まっている。ここは小人の住む森の中。

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