ラビーの過去(3)
未来のアリスは机に向かい、呆然としている。まさか、そんなことがあり得るのか。もしここに書かれている事が事実なら、アリスにこのことを伝えないと、そう思った未来のアリス。足元にはラビーがいた。
ノートにこんなことが書かれていた。
私はアリスに期待していた。どんな小説を書くのか、楽しみにしていた。
しかし、アリスは私の期待を裏切り、完結しなかった。7歳であれだけの小説を書く才能があるのに、私はそう思った。小説を書くアリスの目は輝いた。もうあの姿は見れないのか。
未来のアリスに知ってもらいたいことがある。
このノートは、『不思議な国のアリス』の作者が、異世界の扉を開き。その異世界から持ち帰った魔法のノート。
何故、このノートがここにあるのか。あの作者は一流の小説家には興味がない。ただ面白いしと言ってくれる小説を書きたいだけ。作者はこのノートを使って欲しい人物を探していたが、見つからない。結果、作者の親戚に委ねた。
あの本屋の主は、7歳で小説家を夢見る女の子がいることを知り。アリスの母親にこのノートを渡した。
私はワクワクしていた。どんな小説を書くのか。
このノートの使い方は、小説を書き、完結すればこのノート自体が評価する。このノートが「面白い」と評価すれば、その場で製本された本となり、一流の小説家としての称号が与えられる。
このノートが「面白くない」と評価されれば、ただの普通のノートになる。仮に、小説を書き始めた時点から、1年間で完結しなかった場合も同じ。
しかし、そうなるはずが、この世界に来てノートに異変が起きた。
このノートに小説を書いたアリスは、完結せずに1年が経ち。普通のノートにならず、完結待ちの状態が続き。その状態が限界になり、完結しない物語が勝手に動き出した。
あの3人を小説の中に戻し、この小説を完結しなければ、この小説は崩壊し、ノートは消滅する。そして、アリスが小説を書いた事実さえもなくなり、このノートに関わる全ての人間が消え、全て白紙の状態となる。即ち、なにもなかったということになる。
それを防ぐには、アリスがタイムトラベルをする前に戻り。このノートに向かって、完結したいと強く願えば、あの3人もノートの中に戻り、ノートは元の状態に戻り。そして、小説を完結すれば二度とこういうことにはならない。もう時間がない。いつ小説が崩壊してもおかしくない状態。
今はどういうわけか、このノートは時が止まっている。おそらく、アリスが元いた時代に戻れば再び時が動くと思われる。
ラビーの存在は確認している。あとの2人、闇の女王とアリスは何処に行ったのか。問題なのは闇の女王の行動。アリスとラビーを石にすると言っていた。
あの時、完結さえしていれば、こんなことには。
私の望みは、あの小説を完結して欲しい事。もう一度見て見たい、あの輝いていたアリスを。この事を未来のアリスに託す。
この時、未来のアリスはラビーにこの事実を話し。記憶を失ったラビーに辛い想いをさせたことを謝り。本当に申し訳なかったと言った。
ラビーは驚くべき真実を聞かされ、その真実を受けとめられない。しかし、この件は私に任せてと言い出し。未来のアリスはラビーに、この件を任せることにした。
アリスはこの事実を知り、完結さえしていればと自分を責めるアリスは、未来のアリスと同様に謝り、ラビーに向かって必ず完結してみせると誓った。しかし、2人は複雑な思いだった。アリスもラビーもずっと一緒にいたいと思っていた。それが叶わないと知り、ラビーの想いは。
「私のお姉ちゃんはアリス。これからも変わらない」
「何よ、急に、アリスって、当たり前じゃないの。私の大事な妹なんだから。この事実は変わらない」
2人抱き合い泣いていた。
しばらくして、この話を黙って聞いていた、AIアリスおばあちゃんは、洞穴の外を見てよと言い。
2人はタイムマシンを降り、洞穴の外を見ると。地平線に沈む夕陽がとても綺麗で、しばらくこの景色を2人は見ていた。
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