アリスとタイムマシン(4)

 翌日。

 タイムトラベル、10分後の未来へ、テストを開始する時間がきた。

 その時、ラビーがアリスの単独運転を実行していないと言い出し。確かにしていなかった。

 タイムマシンに乗り込むアリス。AIアリスおばあちゃんには、余程の事態にならない限り、口出し、手出し無用と言ってある。念には念を入れ、ヘルメットを装着。通常はヘルメットなし。球体自体がエアーバッグにもなる。


 単独テスト開始。

 ゆっくりと浮き上がり、飛び立つタイムマシンを見ている2人。手を振るアリス、余裕の笑みで飛び立った。


 飛び立って10分経ち。予定では1時間で戻ってくる。地上では、1階のソファーに向き合って座る2人。

 未来のアリスは、アリスの行動が心配、ハメを外していないか。タイムマシンにはGPSを装備し、球体の中にはカメラもつけ、地上でモニターできる。そこで、リビングにあるテレビをモニター代わりにしてアリスを呼びたそうと思った未来のアリス。


 その時、ラビーが真剣な表情で、あの質問をすることに。

「おばあちゃん、ちょっと質問があるだけど、いいかな!?」

「今じゃないと駄目なの?」

 黙って、首を縦に。

 その表情が余程のことだと、察した未来のアリス。

「質問ってなんなの?」

「おばあちゃん言ってたよね!? 後悔はないって。それって本当なの?」

 首をかしげる、未来のアリス。

「何が言いたいの!?」

「あのノート。完結しなくてもいいの?」

 あのノートと言われ、驚く未来のアリス。

「なんで、なんであなたがそのことを……」


 あの小説は完結していなかった。今でも机の1番下の引き出しに閉まっている。73年間閉ざしたノート。


 その時、突然テレビのスイッチが。

「あのー、映ってますか!? 私、何処にいるでしょう!?」

 それを見て、突然立ち上がり、険しい表情を見せる未来のアリス。

「アリス、そこで何やってるの!?」

「……だってあの時、おばあちゃん、ハワイに降りたらダメって言うから、つい、ごめんないさい」

「もー、あんたって子は……。それで、人には合わなかったでしょうね!?」

「大丈夫、タイムマシンの中でステルス使用になってるから」

「それで!? 気が済んだ!? すぐ戻って来なさい!」

「分かった」


 アリスは、ただ、孫が行きたいという場所を見たかっただけだった。未来のアリスは、もし娘や孫にあったら歴史が変わるのを心配していた。

 未来のアリスはソファーに座り、溜息を1つ。この後、未来のアリスとラビーは、未来のアリスの部屋で、こそこそと何かを話していた。

 アリスは無事自宅に帰って来ると。再度、未来のアリスに謝っていたが、お昼のメニューを見てご機嫌になっていた。そのメニューは、鳥の唐揚げとチーズハンバーグ。もちろん、未来のアリスの手作り。


 午後2時になり、3人は研究所に行き。これから10分後の未来へタイムトラベルのテストを開始する。

 すると、突然タイムマシンが起動し、3人の目の前で消えた。

 未来のアリスのGOサインは出ていない。タイムマシンには未来のアリスは乗っていない。誰も乗っていない。未来のアリスは、まさかと思い懐中時計を見ている。


 タイムマシンが3人の目の前に現れた。タイムトラベル開始時刻は、午後2時2分。今現在、午後2時12分。タイムトラベルは成功。誤差、プラスマイナス0秒。

 すると、AIアリスおばあちゃんがいきなり謝った、勝手にテストしたことを。

 言いわけではないが、時空間移動が大丈夫であれば問題はない。しかし、万が一ってこともある。もし失敗したら、そう思い。私が犠牲になればいいと、AIアリスおばあちゃん思った。

 その事を知り、思わず涙する未来のアリスだが。もうこれ以上、勝手な真似はしないでよと言い。あなたも私の大事な家族なんだからと。

 これで、タイムマシンのテストは全て終了。いつでも元いた時代へ戻れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る