アリスとタイムマシン(3)

 いよいよ、今日からアリスが1番気になっている、空を飛ぶ装置の取り付けに取りかかる。あの大空を自由に飛べる、もの凄く楽しみ。

 一方、ラビーはというと、未来のアリスにあの小説のことを聞きたくてタイミングを計っていた。そして、アリスにも確認したいことが。


 作業は順調に進み。このまま行けば、新しく生まれ変わるタイムマシンの完成は、予定より2日ほど早くなる。そんな中、アリスとラビーはいつものようにアニメを見る為に2階の部屋に行くと。ラビーは、アニメ『不思議の国のアリス』を見たいとアリスに言うと。それはまた今度ねと言われた。

 やはりと思うラビーは、いったいどっちなのか、お父さんとの約束なのか、それともあのトラウマが蘇るのか。お母さんは言っていた。

「妹のあなたが喋れたら、アリスにあの物語を完結して欲しいと言って欲しい。沢山の人に読んでもらいたい。あのままではあの物語が可哀そう。きっと後悔する、完結していないことに」


 翌日。

 空を飛ぶ為のエンジンの取り付けが完了した。このエンジン特徴は、電気の力で空を飛び、エンジン音も静かで、上下左右自由自在に移動可能でき。しかも、時速はマッハ5飛べる。これを可能にしたのが、球体の超高速回転。どのレーダーにもみつからない。


 試運転が始まり。未来のアリスは操縦席へ乗り込み。地上にせり出す研究所。シャッターが開き。アリスとラビーは外に出と、太陽が眩しく、日差しが強い。

 タイムマシンのエンジン始動。少しずつ上に上がり、横移動をし、研究所から出て来た。

 操縦席の未来のアリスは、制御用モニターを確認し。

「どう!? エンジンの調子!?」

 答える、AIアリスおばあちゃん。

「問題はないけど、ねぇー、あの2人にドッキリ仕掛けてみない!?」

「えっ!? ドッキリ!? ドッキリって、何する気!?」


 上空へ上がり出す、タイムマシン。手を振る、アリスとラビー。

 すると、突然タイムマシンが消えた。

 慌てだすアリスとラビー。まさか、タイムトラベル。不安になる2人は、おばあちゃんと叫ぶ。今日はタイムトラベルのテストの日ではない。

 すると、突然タイムマシンがアリスとラビーの目の前に現れ、驚く2人。

 タイムマシンの中で驚く2人の顔を見て笑っている、AIアリスおばあちゃん。

「驚いた!? ドッキリ成功ね!」

 タイムマシンに付けられた、スピカーから音声が響き。すかさずアリスが。

「もー、脅かさないでよね。心配したんだから」

 AIアリスおばあちゃんは、未来のアリスの許可なくドッキリを決行し。3人にこっぴどく叱られた。しかし、このドッキリで思わぬ収穫もあった。


 タイムマシンにはステルスを超える装置を装備している。その装置には、レーダー等、センサー類から探知されず、姿も見えなくなる。光の屈折を利用し見えなくなる方法があるにもかかわらず、AIアリスおばあちゃんはこの方法を使わずに時空間移動のテストをした。

 タイムマシンが時空間に入ると、アリスとラビーからは見えない。時空間に入ると3次元からは完全に消え。時空間には何があるか分からないので、タイムマシンの透明ガラスは全ての光を遮断し。タイムマシン中では暗転し、室内灯が点灯。当然、外の景色は見えない。本当なら、そうするはずだった。

 ところが、AIアリスおばあちゃんが試しにと、勝手に透明ガラスのまま時空間移動のテストをした。このおかげでというか、時空間移動で3次元が見えると分かった。しかし、この空間で何が起こるか分からないところもあり、極力使用は避けることに。ただ、隠れるのには最適。

 AIアリスおばあちゃんは、3人に謝り。未来のアリスは、水陸両用のテストに出かけた。


 アリスとラビーは、いつものようにアニメでも見ようと。その前に、あの研究所を地下へ隠し。その時、ラビーが隣の家を見ている。それに気づいたアリス。

 すると、ラビーは、ぴょんぴょんと走りだし、追いかけるアリス。塀の所まで来ると、ドアを発見。以前にはなかったドア。ラビーは下を見ている。

「お姉ちゃん、ここ見てよ!?」

 見ると、あの穴がそのままだった。なんか、ホッとする2人。しばらく、ここら自宅を見ていた。


 懐中時計を取り出すアリス。午前11時。アリスはあることを思いき、自宅へ戻る2人。

 お昼になり、未来のアリスが帰って来た。何か急いでいる。

「アリス、ラビー、ごめんなさい。遅くなって。急いで……」

 テーブルを見て驚いた。なんと、食事の準備ができている。

 アリスが1人で作った料理が並んでいる。そこには、ナポリタン。未来のアリスの大好物。料理をするところを見ていたアリス、教わってはいない。このサプライズに、未来のアリスは目頭が熱くなり。

「どうしたの!? いつ覚えたの!? なんで!?」

 サラダもスープもある。

 椅子に座る2人。ラビーは、その光景を見ていた。


 アリスが作った初めての料理。具材の切り方は不恰好だが、美味しいと言いながら、食べる未来のアリス。

 皆で美味しくいただき。ラビーはいつもの野菜。

 食べ終わると、キッチンの後片づけ量が増えていた。そこは、大目にみる未来のアリス。


 ここへ来て、ちょうど2週間経ち。今日からアリスは、タイムマシンに乗り込み、タイムマシンの操縦訓練が始まる。

 まず、実地訓練の前に、自宅のテレビをモニター代わりにして、タイムマシンの変更箇所を説明。それが終わると、テレビを見ながら、タイムマシンの操作説明をする。

 タイムマシンの全て機能は、AIアリスおばあちゃんが制御し、管理してくれる。オートパイロット付だが、マニュアルで操作もできる。

 

 一通り説明が終わり。一応、ラビーも参加していた。

 17日目。いよいよ、マニュアルで操作の実地訓練が始まる。初回は3人で乗り込み。慣れてきたらアリスのみで訓練。


 飛行訓練開始。

 ステルス使用モードに切り替え。操縦桿を握り。いざ、大空へ。

 すると、事前に操作説明をしているせいか、これがうまく機能している。運動神経のいいアリスは、すぐに操縦をマスターすると、一度も行ったことがない海に行きたいと言い出し。マッハで飛び、あっという間に海上上空に。

 すると、アリスはとある無人島を見つけ着陸した。そこは、小さな島。太陽の日差しで海がキラキラ輝き、誰もいない砂浜を目の前にアリスとラビー走り出し。未来のアリスは、何やら、タイムマシンの土台ところから、まるで車のトランクのように開け。そこから、何と、バーベキューセットを取り出し、折りたたみのパラソルを広げた。


 日差しの強い、夏終盤。ここは心地よい海風吹き、日陰はわりと涼しい。何年ぶりかのバーベキューに、準備で忙しい未来のアリス、なんか嬉しそう。

 そんなことはお構いなしと、砂浜で遊ぶアリスとラビー。

「こんなにはしゃいだのは何年ぶりだろう?」

 まるで大人のセリフ、そんなアリスを見ていたラビーは、木陰を見つけ、アリスとラビーは一休み、しばらく海を眺めていた。

 すると、ラビー1人歩き出し、潮溜まりを見つけ、アリスを呼んでいる。

 アリスは走っていくと。ラビーは、これ何と指を指し。見ると、小さな蟹。アリスは実際に見るのは初めて。

 いまさらだが、なんて世間知らずなのか、図鑑で知かしらない、本でしか知らない世界。これからはもっと世間を見て、いろんな世界を知らないと、そう思ったアリス。


 お昼の時間になり。肉、野菜も焼け食べごろ。ラビーのメニュー変わらない。たまには、こういうのもいいよねと思う3人。

 美味しくいただき。アリスは後片付けを手伝い。今日は、午後4時までに帰る予定。次は、海の中。実は、このタイムマシンは潜水がきる。いざ出発、海に潜るタイムマシン。なんか、もうすでにタイムマシンではなくなっている。


 ここはまるで水族館。水族館を知らないアリス。お魚達が沢山泳いでいる。太陽の日差しが降り注ぎ、透明度高い。

 これで水中テストもOK。海水から酸素の取り出しもOK。この後、あらゆる場所に行き、日本上空も飛び、自宅へ帰り着いたのは、午後5時になっていた。何か有意義な時間を過ごし、テストは無事終了。残すテストは、タイムトラベル、10分後の未来。

 ところで、1時間遅れた理由だが。実は、日本で食材を買い、ある物をテイクアウトしていた。


 今日の夕食は何も作らない。メニューは、日本で買ったお寿司の盛り合わせ。それも特上のやつ。ラビーは、メイドインジャパンの野菜の盛り合わせ。全て完食し、緑茶を飲む2人。ラビーは富士山のお水。

 このままのスケジュールで行けば、あと2日でテスト終了。2日ほど早まるタイムトラベル。ところが、アリスの要望でぎりぎりまでここにいることになった。

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