エピローグ

 私の願いは叶った。見ろ、人間なんてどこにもいない。いるのは、私の愛しい蚯蚓たちだけだ。不幸が消えた世界では、宗教も、戦争も、労働もない。必要ないからである。蚯蚓たちは、人工物がほとんど朽ち果てつつある風景の中で殺すべき人間もいなくなり、地面に寝そべりジッとしている。彼らは飢えも寒さも痛みも感じない。感じなくても生きていける身体の機構を持っているのだ。このまま地球が滅びるまで、彼らはじっとしているだろう。それだけで幸福なのだ。さて、私も、そろそろ狂いますか。目的がなくなったらからな。ホント、目的を持って生きたとしても、最後には消えるしかないのだから、やり切っても空虚しかない。達成感など、犬の糞に劣るわ。実体が無いのだからな。皆さん、これで良かったのです。最後の被害者は私です。私で最後です。私は、不死身で、これから永遠に生き続けます。地球が滅びても死ねるか分かりません。狂うと言いましたが、自我を失う程狂えるかも分かりません。私は、皆さんの孤独と苦しみと虚無を全て引き受けたのです。そう、私は、新しい神になったのです。ハレルヤ。誰も、いやしませんがね。天地創造を行った古い神は、きっと寂しくてそんなことをしたのだろうと思いますよ。エゴですな。不幸になると分かっていながら、完璧じゃない生物しか産めないと分かっていながら、よくもまあ天地創造して人間なんて産んだものです。誰もそれを非難し、終わらせないから、私が代表して終わらせてやった、私の物語は、それだけのことです。

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絶望少年は、魔法少女と共に夢を見ない ツチノコ @tsuchinoko_desu

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