子供のころに夢見たサントリーニ島へと一人旅に向かう、主人公「僕」の心情と家族の絆を描いた物語です。
ギリシャやサントリーニ島などの景色や風景を繊細、かつ丁寧に描いています。まるで読者自身が旅をしているかのような素敵な文章でまとめている点も、魅力の一つだと思いました。さらに実在する海外の観光名所が多く登場するので、とても臨場感のある物語です。
また主人公の父親と母親に対する絆の深さについても、作中ではしっかりと触れてられており、家族の暖かさを教えてくれる作品となっています。そんな家族の絆と「シーシュポスの神話」を関連付けている点も、作品の大きな魅力の一つだと思いました。
家族への愛と自然の神秘を柔らかい作風で描いた『エーゲ海の宝物』の世界観を、私は一人でも多くの方に体感していただきたいと思います。