テストが終わって後ろを振り向いたら友達が全裸だった。
めそ
最終話 オレたちゃイルカ爆撃隊
「いやー、テストヤバかったな」
「ハナせんせーマジ手加減なしだわ」
「ホントそれ。マジハゲろって感じ」
「女性にハゲろはヤバいって」
いや、全裸のお前もヤバいって。
なんで全裸なの? テスト始まる前は服着てたよね? テスト終わって振り返ってみたらなんで服脱げてんの? て言うかなんで誰もなにも言わないの?
「ヤスー、ヨシオー、テストどーだったー?」
「おー、ノリ。全然ヤバかった」
「ありゃ婚期逃してる女の作るテストだって」
「ハナセンマジヤベーよな」
ヤベーのはお前だぞヤス。なんだよ全裸って、着てた服跡形もねーじゃんかよ、どこいったんだよ。
あとなんでノリはなんも言わねーんだよ。どう考えたっておかしいだろ、全裸。靴下どころか上履きすら履いて……いや履いてるわ。なんで履いてんだよ。脱げよ、脱いで捨てろよ。
「つーかテストなんてもうどーでもいーんだよ。今日帰りヨシオん家でゲームだっけ」
「そうだっけ?」
ヤスを家に上げたくないんだけど。
「ちょっとー、おいおい、しっかりしろよなー。勉強のし過ぎで頭おかしくなってんの?」
「バッカ、頭叩くなよ。馬鹿が伝染るだろ」
「おま、言ったな、このヤロ!!」
「あだだだ! ギブギブ」
「あっははは! そんな優等生なんかやっちまえ、ノリ!」
「オウヨ!」
「イヤほんと、ギブギブ!」
ヘッドロックとかマジで……アケチくん!? アケチくん!? なんでお前、おま、なんで上裸なんだよ!? 全裸じゃないのかよ!? ヤスは下も脱いでるんだぞ!? つーかテスト中に脱ぐの流行ってんの!? クールぶってテストの自己採点してるけどその前に服着ようよ! 最高にだらしない腹がクールさ台無しにしてるって!
イヤホントマジデ……ってサイジョウさん!? なんでテスト終わったら貞子になってんの!? 呪われた日本人形ばりに髪伸びてんだけど! 一昔前に流行ったやつだよね、ソレ!? 今やるの!? 流行り関係ない全裸芸じゃなくて日本人形やるの!? 勇気あるね!
「テストほんとヤバかったよねー」
「ねー」
いや、めっちゃ前髪どかしてるじゃん! 右手でどかした次の瞬間左手で前髪どかしてるじゃん! 陸上選手らしからぬ動きだよ! 前見えてないよ! 会話してるなら気付いってハゲ上がってるぅー! 対面のマキ氏ハゲ上がってるぅー! なんでボニテだけ残してほかハゲ上がってんだよ! ヤシの木だけ生えた無人島か!? いちいち妙に古いんだよこの馬鹿! クソッ、似合ってるのが余計に腹立つ……!
「フッ……どうやら、君も【
「「「!?」」」
隣の隣のそのまた隣の教室のヤマダ……!?
「この妙な怪現象、【観測者】以外の人間はどうやら外見的特徴になにか大きな変化を与えられてしまっているようだ」
「その理屈だとお前の顔面も相当だぞ」
「この中二野郎」
「なんだその穴開きグローブ? 馬鹿にしてんの?」
「いっちょまえに前髪上げてねーで汚え顔隠しやがれ」
「ボソボソ喋ってんじゃねーぞ不細工野郎」
「妄想垂れ流すなら他所でやっ……?」
…………わあ、ノリの後頭部すっごい。思わず二度見しちゃうくらいすごいツルツルじゃん。もう若ハゲで後頭部の毛が薄いとかそういうんじゃなくて、毛根が完全に死滅したオッサンとタメ張れるレベルで後頭部だけツルツル。だってほら、蛍光灯の光が反射して眩しいもん。あれ……? なんで急に親父の顔が浮かんでくるんだろ……? なんか涙出てきたし……。そんな良い笑顔で親指立てるなよ、親父ぃ…………。
「ぐすっ……」
「あっ! お前の顔面キモすぎてヨシオが泣いちゃっただろ! えっと……た……タナカ!」
うわ全裸で抱きついてくんな。
「息クセーんだよ! 息するだけで環境汚染してんじゃねーぞハゲ!」
ハゲはお前だぞ。ぶっ殺されてえかそんな頭しやがって。
「え……と、オレ、ヤマダ……」
「あァ!?」
「ヒッ! その……ごめん……なさい……」
「声が小せーぞ! ヨシオはお前のせいでないてんだかんな!」
「ご、ごめ……!」
「デケー声出してんじゃねえぞ臭男!」
友達の露出狂とハゲがうるさい。
「あの、ヤマダくん、ホントごめん……顔見たくないから早く出てって……」
本当はノリの頭の方が見たくないけど。
「あ、えっと……」
「オラァ! 出てけっつわれただろうがタナカァ!」
ヤマダね。
「臭ぇ息いつまでも吐いてんじゃねえぞタナカァ!」
ヤマダね。あとめっちゃ臭い気にするじゃん。前世は犬かなにかだったの?
ヤマダは泣きながら教室を立ち去り、三ヶ月後、世界はタナカに救われ、ヤスは露出癖に目覚めた。(ナレーション)
終わり!
テストが終わって後ろを振り向いたら友達が全裸だった。 めそ @me-so
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