超越使徒の黙示録

寝ぼけモグラ

第1話

全てを超越した場所、、、

下を見ても何もない

上を見ても何もない

重力はなく、水は横に流れる。まったくの暗闇であると同時にこれ以上ないくらい聖なる輝きに満ちた場所、、、

ここが全ての始まりの場所だと言われて疑う人はまずいないだろう、、

そんな場所に僕は来た。いや、来ざるを得なかった、というべきか。

何よりここが終焉の地であることに変わりはない。

そして始まりの地であることも、、、、


やっと戻ってきた、、、、 「この場所」、、、、






〜この世の地の底で〜


骸骨共のうるさい音で目が覚めた。目が覚めたと言っても昨日の出来事のせいで睡眠と呼べるような大層なものは得られなかった。寝ぼけ眼で外を覗き見る。骨だけの死人のくせにまるで生きてるみたいによく話す連中だ。死人らしくもっと大人しく悲しそうにしたらどうだ。まあ俺が何を言ったって連中は聞く耳を持たないだろう。

そんなことを考えて支度をしているうちにミル(「上」から僕がもらった伝書鳩のこと)が、上司からの朝の伝達書を持ってきた。


「よお。昨日はよく眠れたか?こんなに働かせるなんておかしい!とかほざいてたけどよ、この程度で根を上げてもらっちゃ「この世界」じゃやっていけねえぜ。

いきなりだが緊急の用があるんだ。疲れてるところ申し訳ないがいつもよりトばしてきてくれ。死馬車はもうそっちに行くよう頼んであるから。そいつに乗って急いで来てくれ。頼むぞ。  お前の良き上司より」


なにが良き上司だ。新人をあんなにこき使ってる奴が。心の中で悪態を吐きながら

いつもは見ない「緊急」の文字に少し動揺している自分がいることに気がついた。

寝癖を直しながら鞄を持って慌ただしく家を出る。いつも通り朝食は取らない。


伝達書にあった通り道にはもう死馬車が到着していた。急いで飛び乗って車窓から外を見る。普段と変わらない景色、普段と変わらない睡眠不足、普段と変わらない鳥達の群れ。それなのにさっきの「緊急」の文字で、いつもの変わらない朝は少し違和感を帯び始めていた。



ガチャリ。扉を開ける。


「おう。やっと来たか」


いつも通り僕の上司はやたらでかい体をソファに投げ打ってくつろいでいた。部下をあんなに働かせておきながらよくそんな呑気にしていられるな。

しかし今日の彼の表情は少し固かった。


「いつもとは違って重要な話だ。」


いつもは重要じゃないのかよ、そう思ったのも束の間、次に彼の口から出た言葉に僕は動揺を隠せなかった。


「単刀直入に言おう。”天門“が開いた。」


僕は脳みそをひっくり返されたような気分になった。

嘘だろ、あの天門が、今まで地上界と天界の不干渉の役割を担ってきたあの門が、

開いただって?


「安心しろ、この地底界への直接の影響はまだ確認されていない。しかし間接的に影響を受けることは避けられねえだろうな。天門が開いたなんてことは過去の文献でも見たことがない。もちろん“上”は大騒ぎだ。何人もの使者を地上界に送ってるとよ。

詳しい話はまだわかってないが、お前も覚悟しとけよ。

いつ非常事態になるか分からないからな。」


「わ わかりました」


動揺で声が震える

僕は額に不快な汗を残したまま扉へ向かう。


「あ ちょっと待て。この話は組織の機密情報だからな。くれぐれを外部の奴らには話すなよ。」



ガチャリ。部屋を出る。

部屋を出る前と出た後では僕の心境は180度変わっていた。

あきらかに僕は動揺していた。おかしいぐらいに。しかし心の奥底ではまだ現実を受け入れられなかった。

テラスに出る。眼下に見える街の雰囲気は普段と何も変わらないように見えた。

しかしそれが僕にとっては逆に恐怖に感じてしまう。

まるでこれから始まるとんでもないことの“嵐の前の静けさ”のように思われてならなかった。




















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