49.6 運命の姫君?

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 年が明けて中の君は臨月を迎えるの。匂宮にとっても初めて子供を迎えるから中の君のことをとても心配しているの。匂宮のお母さんの明石中宮からもお見舞いの使いが来るの。同じ時期に薫の婚約者の内親王も裳着を迎えようとしていて、それは薫との結婚が近づいているってことなんだけど、当の薫は中の君のお産の心配ばかりしているのよね。


 2月に薫は権大納言に昇進して右大将も兼任することになって、「薫大将かおるのたいしょうの君」って呼ばれるようになるの。同じころに中の君は若君を無事出産するの。匂宮も薫もとても喜ぶの。出産後の儀式も華やかに行われたの。帝も匂宮が初めてお父さんになったことを祝って太刀を若君に贈ったの。薫は中の君が子供を産んだことで立場が確立されたから自分との恋はもうかなわないことは残念だけれど、中の君がこれで幸せになることはいいことだとも納得しているみたいなの。


 そして内親王の裳着も行われて薫と結婚するの。帝の娘である内親王との結婚なんてあの源氏だって晩年だったし、自分は世間から認められない形での落ち葉の宮との結婚だったのに、薫は若くして正式に内親王と結婚できるなんて強運の持ち主だ、なんて夕霧は思っていたみたいよ。

 4月になって薫は内親王を自宅の三条の宮に迎え入れるの。その前日には宮中で帝が宴を催して内親王を送り出だすの。彼女は落ち着いていて欠点のない女性なんだけど、薫の心はまだ大君にあるのよね。


 その月の20日過ぎに宇治の御堂工事を薫が見に行くと、山荘に見慣れない女車があるの。弁の君に聞くとこの前話していた中将の君と娘が来ているって言うの。

 薫がそっと覗いてみると田舎っぽい付き人たちの中にひとりとても品のよい女性がいるの。その姿は大君そのものに見えて薫は思わず涙を流すの。弁の君と話している声は中の君によく似ているの。薫はいますぐにでも姫のいる部屋に入って行って「あなたはやっぱり生きていたんだね」と話しかけたいくらいなの。その夜薫は弁の君に姫君と付き合えるように協力してほしいと頼んだの。


~ かほ鳥の 声も聞きしに かよふやと しげみを分けて 今日ぞ尋ぬる ~

(顔も声もなつかしいあの人にそっくりだろうかと茂みをかきわけて今日逢いに来たんだよ)


「生まれる前からの宿命だったんだよ。やっとめぐりあえた」

 薫がそう言うので

「まあ、いつの間にそんな宿命ができたのでしょうね」

 と弁の君は笑ったみたいね。





第四十九帖   宿木


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ かほ鳥の 声も聞きしに かよふやと しげみを分けて 今日ぞ尋ぬる ~

薫が大君にそっくりな姫を見て感動して詠んだ歌




第四十九帖宿木やどりぎでした。

episode49 薫の想いと運命の姫君   宿木

49.1 周りの思惑

49.2 薫と中の君

49.3 匂宮と六の君の結婚

49.4 夫婦ゲンカも和歌にのせて?!

49.5 大君によく似た姫君

49.6 運命の姫?


 匂宮と結婚して二条院に来た中の君ですが、匂宮は夕霧の娘との結婚もすることになり、そこに薫の想いも加わり匂宮と中の君の関係がぎくしゃくしてしまいます。匂宮は薫と中の君の中を疑っています。


 そんなときに見かけた愛した人(大君)にそっくりな姫君。やっと巡り合えた。運命の姫だと薫は感動しています。

「匂宮の奥さんの中の君ちゃんに恋するよりずっといいよね」

「このお姫様と薫くんがうまくいけばいいね」


 突然現れた運命の姫君。源氏物語では多くの女性キャラクターが登場しましたが、彼女が最後の主要キャラクターです。さて、彼女の運命はどう展開するのでしょうか。大長編源氏物語も残すところ5巻です。


NEXT↓

episode50 翻弄される舟   東屋

50.1 動き出す運命




☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

ウジウジ薫くんの次はふらっふら薫くん……💦


topics42 ふらっふらふらつく薫くん……

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054887362266

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