49.5 大君によく似た姫君

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 それでも薫は気持ちを抑えられなくてまた中の君を訪ねるの。また口説きはじめようとする薫に中の君はそういえば、なんてある姫君の話を始めるの。

 その姫君はお父さんの八の宮に縁のある人で不思議なほど大君に似ていたなんて言うの。薫は中の君が自分から気をそらせようとしてそんな話を始めたことを恨めしく思うんだけど、「大君に似た」姫君のことが気になりだすの。


 9月になって薫は大君の一周忌の準備のために宇治に出かけるの。かつての八の宮の山荘を取り壊して山寺の近くに御堂を建てようと阿闍梨と相談するの。その夜は山荘に泊まることにして、残っている弁の君と話をするの。薫の実のお父さんの柏木のことや亡くなった大君、二条院に住んでいる中の君のこととかね。それから薫は中の君が話していた姫君のことを聞いてみることにするの。

 どうやら八の宮は大君たちのお母さんが亡くなったあとに中将の君という女房と恋仲になって姫君が産まれたみたいなの。

 

 でも出家願望が強かった八の宮は中将の君と姫君を遠ざけてしまい、彼女は地方官僚と結婚して任国に行っていたんだけれど、二十年ぶりに都に戻ってきて二条院の中の君に挨拶に来たんですって。その話を聞くと薫はどうにも気持ちがはやってしまうの。大君の異母妹にあたる姫君を見てみたいって思うのよ。弁の君はいずれ中将の君と姫君が八の宮のお墓参りに宇治にくるだろうからそのときに薫が会いたいと言っていることを伝えますと約束するの。


 宇治から戻った薫は宇治で採った色づいた蔦の葉を二条院の中の君に届けるの。添えた手紙には恋愛めいたことは書かないで、山荘を御堂に建て替えることなどの用件だけにしたの。

 案の定匂宮は薫からの手紙と蔦の贈り物を(やっぱり浮気してるんじゃないの?)とまた疑うんだけれど、手紙の内容は山荘のことしか書いていないし、浮気の証拠は見当たらないの。中の君は何度も匂宮から疑われてうっとおしく思っているみたいね。

 そうなると匂宮も中の君のご機嫌をとろうと琵琶の演奏を聴かせてあげたりするの。(匂宮の実の祖母明石御方は琵琶の名手)

「(六の君さまとも結婚したけれど)結局は中の君さまのことを匂宮さまなりに大事になさってるのよね」

「奥さまはふたりになったけれど、中の君さまはお幸せよね」

 匂宮と中の君のふたりを見守りながら女房たちはそんな風に話しているの。




To be continued ✈✈✈




◇「大君さんと中の君ちゃんに異母妹がいたんだね」

 そうですね。中の君は薫の気をそらせようとその話をしました。思惑通り薫はその異母妹のことを気にするようになります。


 一方で匂宮はいまだに中の君と薫の仲を疑っています。薫の中の君への想いは置いておくとして、中の君にとっては実際にしていない浮気を疑われてうっとおしく思います。そしてそのような態度をとられると匂宮は中の君のご機嫌をとろうと焦っているようです。


「匂宮くんが焦って中の君ちゃんのご機嫌をとろうとしてるの、なんか笑える」

 薫が中の君に好意をいだいていることを匂宮は察しているので、中の君まで薫のことを好きになってしまうことを心配しています。






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49.6 運命の姫?! 


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