topics42 ふらっふらふらつく薫くん……

 第49帖 宿木(【超訳】源氏物語episode49 薫の想いと運命の女性)に寄せて


 大君と結ばれることなくその大君を亡くした薫は彼女のことを忘れられません。

 初めての恋だったのに悲しい結果になってしまいましたものね。

 叶わなかったからこそ惜しむ気持ちも悔やむ気持ちも強くなります。


 こうしていたら

 こうしてあげたかった

 もっと伝えたかった

 ふたりで幸せになりたかった


 大君のあとを追いたい

 もう一度大君に逢いたい


 大君への想いは尽きませんね。


 叶えさせてあげたかった。

 読み手のワタシたちの願いでもありました。



 一方中の君は匂宮と結婚して二条院に迎えられますが、匂宮と夕霧の娘の六の君との結婚話(六の君が正室)にショックを受けます。

 薫としても匂宮と六の君の結婚は政略的に仕方ないことだと解っていますが、やっぱり中の君が可哀想だなと同情します。


「こんなだったら自分が中の君と結婚していればよかった」

 薫は中の君と匂宮とをくっつけてしまったことを後悔します。中の君、お姉さんの代わりにキミを愛せたらいいのに。


 ねえ、ねぇ、薫くん

 大君が忘れられないんじゃないの?

 中の君妹ちゃんも気になるの?


 新登場の姫も気になるな

 聞けばなんと大君あのヒトの異母妹

 覗いてみたら大君そっくりでビックリ

 このひとだ!

 運命のヒトだ!

 ようやくめぐり逢えた!!


 ねぇ、ねぇ、薫くん

 大君が忘れられないんじゃないの?

 こっちの姫も気になるの?



「あなたとしか結婚するつもりないんだよ」

「(あなたと結ばれないのなら)悲しい想いをするのが僕の宿命だったんだ」


 大君が亡くなる時にキミそう言ってたよ?


 あなたのあとを追いたい

 恋いわびて死んでしまいたい


 あんなにストレートに大君に恋してたよ?

 悲しい歌だけれど、溢れる想いはこちらの気持ちを熱くさせてくれたよ? 思わずもらい泣きしたんだからね?


 中の君の声は大君そっくりだ。

 異母妹とかいう人はきっと大君の生まれ変わりなんだ。



 キミさぁ……、結局はどうしたいの?

 大君つながりなら誰でもいいんかい?

 自分でも自分の気持ちがわからないんかな?


 ちなみに薫くんには帝の意向で結婚した正室がいます。この正室さんと薫くんの関係も変わっていて、お互い帝に言われてした結婚でまったく恋愛感情がないのです。薫は正室を帝から賜ったご主人サマと奉り、正室は薫を従者と思っているらしいのです。お互いが同じような温度でいるのなら、これはこれでいいのかしら?


 からの薫くんの恋の行方です。


 まあね、まだ若いし、二度と恋するなとは言いませんよ。

 でもさぁ……。

 それにしては中の君だ、新しい姫だと揺れまくりじゃないかい?


 ウジウジ薫の次はふらっふら薫

 愛を求めて彷徨っているのかしら?

 でも考えてみると薫くんのことを心から愛してくれる子ってまだいないのかも。

 大君さんも薫くんに好意は持っていたけれど深く愛していたとまでは言えなさそうですよね。

 いくら成績優秀の真面目くんだってひとりで生きていくのは味気ないし、愛されたいし、救われたいかな。


 そっか。そう考えると見た目や身分や役職でなく薫くん自身を愛してくれる女の子に巡りあってほしいかな。

 幼い頃から悩んでいる薫くん。

 出生のヒミツは知らなくても、心に影のある薫くんを思いやりそばに寄り添ってくれる心優しい女の子に。

 ひとりで抱え込んでいる悩みの重量感を減らしてくれる、忘れさせてくれる温かい女の子に。


 薫くんの真実の愛を求める旅路はまだまだ続きそうですね。


 ☆☆☆

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 topics49 薫の想いと運命の女性

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054886938694

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