46.5 ふたりの恋

✈✈✈Let' go to SenmojiGenji

 冬になってまた薫は宇治に行くの。雪の中をわざわざ来てくれたので大君が薫の相手をするの。打ち解けたとまでは言えないんだけれど、前よりは長い時間話をするの。薫は大君のことが好きなんだって自覚しているのに、匂宮の話を持ち出すの。女好きなんて噂はウソで、彼は素晴らしい人で中の君と匂宮の仲を取り持ってあげたい。それから自分は大君のことが好きですって告白もしたの。


~ つらら閉ぢ 駒ふみしだく 山川を しるべしがてら まづや渡らむ ~

(氷のように閉ざしていらっしゃるあなたがたを匂宮に紹介することになったけど、あなたのところには僕が逢いに行くからね)


 大君は面倒な展開になっちゃったわとはっきりした返事はしなかったの。



 春。匂宮と中の君はあいかわらず和歌のやりとりだけの関係なのね。去年の春に桜と一緒に贈った歌のことを思い出してまた匂宮は中の君に歌を詠むの。

 

~ つてに見し 宿の桜を この春に かすみ隔てず 折りて挿頭かざさん ~

(去年は旅行の帰り道に眺めたあなたのところの桜だけれど、今年は直に会って(桜を)手渡したいんだ)


 あいかわらずの美しい文字の積極的な気持ちに中の君はカタチだけ返事をするの。


~ いづくとか 尋ねて折らん 墨染めに 霞こめたる 宿の桜を ~

(どこの桜のことをおっしゃっているのかしら? わたしの桜は墨染めで霞に覆われているのよ?)


 こんなつれない返事で中の君との仲がちっとも進まない匂宮は薫になんとかしろって言うんだけど、薫は面白がってるの。

「キミが本気かどうかわかんないからね」

「運命の人に出逢えるまでいろんな女の子に会ってるだけだろ?」

 自分の女好きという噂の言い訳をしたいみたいね。


 夕霧は今でも自分の娘の六の君を匂宮と結婚させたいって考えているんだけど、匂宮はおカタい義父ができるのはイヤみたいでずっと断り続けているのよね。



 薫のお母さんの女三宮が住んでいる三条の宮が火事で焼けてしまったので女三宮は六条院に引っ越すの。

 そんなこんなで忙しかった薫は夏になってやっと宇治に出かけることができたの。お屋敷は風を入れようとあちこちが開いていたの。そこに風が吹いてきて御簾を巻き上げたの。可憐で華やかで柔らかみが感じられる姿が見えて、薫は感嘆のタメイキなの。髪も上品で優美なの。もうひとりも優しそうで美しくすこし弱々しい感じがするの。最初の姫君が中の君であとから見えた姫君が大君だったのよね。







第四十六帖   椎本


To be continued ✈✈✈


🖌Genji Waka Collection

~ つらら閉ぢ 駒ふみしだく 山川を しるべしがてら まづや渡らむ ~

薫が大君に告白した歌


~ つてに見し 宿の桜を この春に かすみ隔てず 折りて挿頭かざさん ~

匂宮が中の君に贈った恋の歌


~ いづくとか 尋ねて折らん 墨染めに 霞こめたる 宿の桜を ~

中の君が匂宮を警戒して返した歌



◇第四十六帖椎本でした。

episode46 ふたりの恋   椎本

46.1 匂宮の宇治行き作戦

46.2 匂宮と中の君

46.3 八の宮の死

46.4 匂宮と薫、大君と中の君

46.5 ふたりの恋


◇ふたりの姫君のお父さんの八の宮が亡くなってしまいました。薫はようやく大君のことを好きだと自覚したようです。そこで自分は大君と、中の君には匂宮と結婚させようと計画を立て始めたようですね。


「ふたりの恋の相手が別々でよかったね」


 薫はようやくふたりの姿を垣間見しました。

「やっと好きな人を見られたんだね。やっぱテンション上がっただろうね」

 今とは違ってちょっとしたハプニングでもなければ女性の姿など見られません。


「ふたりの恋はうまくいくのかな」

 次巻に続きます。



NEXT↓

episode47 恋の終わりと恋の始まり   総角あげまき

47.1 ずっと一緒に



☆こまちのおしゃべり

【別冊】源氏物語のご案内

ウジウジ薫くんに続いてチャラ男くんも宇治に行きます♬ 


topics39 ちゃらちゃらチャラ男も宇治へゆく

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054886930005

匂宮くんっておじいちゃん似だよね💦



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