35.5 紫の上の願い
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
月の出が遅い夜だったみたいで庭の
女三宮を見ると気品高く柳のようだと源氏は植物に喩えるの。
明石女御は美しく咲きこぼれる藤の花のよう。
そして紫の上の美しさであたりが光り輝いていて、この人は桜に喩えてもまだ足りないくらいの素晴らしさだって思うんですって。
明石の御方は聡明で品がよく、琵琶を抱えている姿が美しくて橘の木のようだって喩えたの。
夕霧もいつかの台風のときに見かけた紫の上がきっとさらに美しくなっていらっしゃるんだろうなぁと想像してドキドキ胸が高まるの。
「色恋がらみじゃなくて、いつか家族の一員としてお慕いしているとお伝えしたいなぁ」
そんな風には想うんだけど、だからといって人から非難されるようなこと(紫の上に恋をする)をしようとは思わなかったのよ。
源氏に演奏の感想を求められた夕霧は「和琴(紫の上)が特に素晴らしい」って褒めちぎるの。源氏は明石の御方の琵琶以外は自分が教えたからねと自慢げだったから、女房たちはなんでもご自分のお手柄なのねって肘をつつきあって笑っていたみたいよ。
その後も源氏が琴のことについて語ったり、受け持ちの楽器を交代したりして女楽の夜を皆が満喫したの。
夕霧は帰り道でも紫の上の琴の演奏を思い返しては感激していたみたいね。自分の奥さんの雲居の雁はあんまり琴が得意ではないみたい。喜怒哀楽がはっきりしている天真爛漫な奥さんだったから、タイプの違う紫の上には強い憧れの気持ちがあったみたいね。
次の日に源氏は紫の上と昨夜の話をするの。夕霧がキミの演奏を褒めてくれたのが誇らしかったよって。紫の上が幼い頃は忙しくて教えてあげられなかったのにキミはやっぱりすばらしいとつくづく源氏は感心するの。そんな風に風流なことにも才能があって、その上最近は孫たちの面倒も見ていて奥さんとしてカンペキだって思うんだけど、完全な人ほど短命だなんて不吉なことを思ってしまうの。たくさんの女性と付き合ってきたけれどこれほどすべてを兼ね備えている人は他にいないって紫の上のことを想うの。
紫の上は今年は37歳で厄年でもあるし、源氏に出家したいって打ち明けるんだけど、許してもらえないの。
「キミみたいに素晴らしい
「キミと仲良く暮らすこと以上のシアワセなんて俺にはないんだよ」
「俺がどれだけキミのことを愛しているかを見届けてよ」
紫の上はまたそんなこと言って出家させてくれないのねと涙ぐむの。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Collection
~ なつかしく愛敬づきたる御爪音に、掻き返したる音の、めづらしく今めきて ~
夕霧が紫の上の和琴を褒めたたえる様子
~ 深き御労のほどあらはに聞こえて、おもしろきに、大殿御心落ちゐて、いとありがたく思ひきおえたまふ ~
源氏が紫の上の和琴の演奏に感心する様子
◇「よくさ、こんなこと言えるよね……」
こまちちゃんの机の叩く音が響きます。
「なぁにがキミと暮らす以外の幸せはない、だよ」
机パーカッションのリズムが早まります。
「今までそばで十分見てきたじゃん。自分以外の奥さんや彼女ごっそり作ってきたのをず――っとず――っと見てきたじゃん」
バン! バン! バン! バン!
「それでもう出家したいって言ってんじゃんか」
自分から離れていこうと(別れようと)されると源氏はがぜん焦ります。六条御息所との関係もそうでした。
「ふぅぅぅぅぅ」
こまちちゃんの深いため息。またあの言葉かな……。
「恋愛バカ」
どういう意味?
「たくさんの人と付き合いまくってモテまくり人生だと勘違いしてるけれど、結局は相手の気持ちに気づけていないバカ」
NEXT↓
35.6 紫の上倒れる
☆こまちのおしゃべり
【別冊】源氏物語のご案内
紫の上の哀しみエッセイだよ。見に来てね。
topics27 最愛の妻の望み
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054885867104
紫ちゃんの願いを叶えて上げなよ……。
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