35.6 紫の上倒れる
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
それから紫の上が一番素晴らしいんだと強調するために他の女子を引き合いに出すの。葵の上(夕霧のお母さん)も欠点のない奥さんだったけれど賢すぎてちょっと面倒だった。六条御息所(セレブ未亡人)も才色兼備だったけど息苦しかったとかね。
明石の御方のことも表面上は従順だけどどこか身構えてしまうなんて源氏は言うの。以前は嫉妬していた彼女とも和解して、仲良くしてくれるキミの真似をできる人なんて他にはいないよ、立派すぎるよって源氏は紫の上のことを称えるの。
その夜、源氏が女三宮のところに泊まっているときに、ひとりで寝ていた紫の上は急に胸が苦しくなるの。源氏もつきっきりで看病して、僧も呼んでいくつも祈祷をさせるんだけどちっとも良くならないの。源氏はもう他のことに気が回らない状態なので2月に予定していた朱雀院の50歳のお祝いも延期するの。
そして2月も過ぎたんだけど、紫の上の病状はよくならないの。だったら環境を変えてみようということで、紫の上を二条院に移すのよ。
夕霧ももちろん紫の上のことを心配していて、自身でも紫の上の病気が治るように祈祷をさせているの。
「前からお願いしている出家をどうして許してくれないの?」
紫の上は源氏にこう言うの。
「生きていて離れ離れになるなんて死んで別れることより俺にはツライことなんだ」
「キミが出家したら俺は生きていけない」
「キミが寂しく思うだろうからって俺は出家を思いとどまってるのに、キミは俺を見捨てるの?」
こんなことばかり源氏が言って出家をさせてあげないのがいけないのか、紫の上の病状はどんどん悪くなっていくの。
当然源氏は女三宮のところには通わなくなるの。楽器などもしまいこまれて六条院は灯りが消えたみたいに寂しくなってしまい、六条院の真の華は紫の上だったってみんな思い知るのよね。
明石女御も紫の上を心配して二条院に看護にいらっしゃるの。
「あなたはご懐妊中なのだから病室に来てはいけないわよ」
「女御様のお子様たちが大きくなられるのを見られないのが悲しいわ。きっとわたくしのことをお忘れになってしまうわね」
紫の上がこんなことを言うので明石女御は悲しくなっちゃうの。
源氏も加持祈祷の僧たちに紫の上が素晴らしい人であることや罪がないことを神仏に伝えてほしいと必死に訴えていて、その心痛のひどさったらないの。紫の上はたまに体調がよくてもまた具合が悪くなり衰弱していくの。
「このまま助からないのか」
ひたすら嘆く源氏。もう紫の上の看病のことしか頭にないみたいね。
第三十五帖 若菜下(二)
To be continued ✈✈✈
◇第三十五帖 若菜下その二でした。
episode35-2 春の演奏会とある願い 若菜下(二)
35.4 豪華なホームパーティー
35.5 紫の上の願い
35.6 紫の上倒れる
紫の上が倒れてしまいました。心労がたたったのでしょうか。
「源氏のせいじゃん」
相変わらず源氏に手厳しいこまちちゃんですね。
源氏は必死で紫の上の看病をします。
「それはいいけどさ。自分のせいで紫ちゃんが倒れちゃったってわかってんのかな」
「他の女の人の悪口言ってキミが素晴らしいって言われても嬉しくなくない?」
紫の上が願う出家を源氏はどうしても認めたくありません。
紫の上は37歳。女の厄年と言われている歳です。
実は藤壺の宮さまが亡くなった歳でもあるのです……。
「え、まさか……。そんなことないよね。紫ちゃん、大丈夫だよね?」
ボリュームの多い【若菜上】【若菜下】の最終章は次巻からです。
「また、嫌な予感のするエピタイなんだけど!」
NEXT↓
episode35-3 吹き荒れる嵐の六条院 若菜下(三)
35.7 柏木の暴走
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