12.3 須磨へ
✈✈✈Let' go to SenmojiGenji
他にも藤壺中宮さまや花散里の君など縁のある人たちとお別れをするの。さすがに朧月夜の君にだけは会いにいけず手紙でのお別れだったらしいわ。
そのあと東宮さま(藤壺の宮の産んだ子)のところへも挨拶に行ったの。もちろん家臣としてね。
「いつか都の春の花(あなたさまが即位される姿)を見ることができるでしょうか」
源氏は桜になぞらえて東宮さまにお別れを言うの。
「少しでも会えないと僕は寂しいのに、遠くに行っちゃったらもっと寂しくなっちゃうな」
春宮さまがそうお返事されるの。東宮さまのお母さんの藤壺の宮さまにも挨拶するの。
「おもいがけない罪(朱雀帝への謀反)のために謹慎することになりましたが、心当たりのある本当の罪(藤壺の宮と犯した罪)があります。自分がどうなっても東宮様が無事に即位できるなら本望です」
そんな風に源氏は藤壺の宮さまに伝えたらしいわ。亡くなったお父さんの桐壺院のお墓にもお参りに行ったわ。
最後の夜は紫の上と一緒に過ごして別れを惜しんで、夜が明ける前に須磨へと旅立ったのですって。
~ 生ける世の 別れを知らで 契りつつ 命を人に 限りけるかな ~
(生きている間に離れ離れになるなんてね。命ある限りは一緒だって信じてたんだけどな)
別れるときに源氏はこんな歌を詠んだの。
~ 惜しからぬ 命に代へて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな ~
(お別れの時間を引き延ばせるなら命を差し出してもいいわ)
「もう少し一緒にいられるなら死んでもいいわ」
命を差し出す
そんな紫の上の心の叫びに源氏は出かけづらいんだけれど、朝になる前に旅立ったの。
~ ふる里を 峰のかすみは 隔つれど ながむる空は 同じ雲居か ~
(山が邪魔してふるさとは見えないけれど、あの人が眺めている空も雲も同じだろうか)
京から1日で着く距離なんだけど、須磨は
梅雨の時期になると源氏も人恋しくなって、紫の上や藤壺の宮や朧月夜とも手紙で近況を聞いたりしていたみたい。
To be continued ✈✈✈
🖌Genji Waka Collection
~ 生ける世の 別れを知らで 契りつつ 命を人に 限りけるかな ~
源氏が紫の上と離れるときに詠んだ歌
~ 惜しからぬ 命に代へて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな ~
紫の上が源氏との別れに混乱して詠んだ歌
~ ふる里を 峰のかすみは 隔つれど ながむる空は 同じ雲居か ~
源氏が須磨で詠んだ歌
◇大勢の人とお別れをして源氏は須磨へと旅立ちました。自分が身を引くことで後見人をしている東宮さま(源氏と藤壺の宮の子)が失脚しないようにする意味もあったようです。守りたいのは藤壺の宮さまと東宮さまのことでした。
「それはわかるけどさぁ……」
ここ数日のこまちちゃんはお怒りですね。
「藤壺の宮さまや東宮さまや紫ちゃんたちを守りたいんだったら、どうして朧月夜さんと付き合ってたんよってことでしょうよ」
こまちちゃんが机をバンっと叩きます。
「源氏、許すまじ」
とうとう呼び捨てになってしまいましたよ。光る君。
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12.4 都に残された人たち
☆こまちのおしゃべり
【別冊】源氏物語のご案内
関連するトピックスがあります。よかったらご覧になってくださいね。
topics6 お別れ会だってタイヘンだわよ https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054882616976
だからさ、あんなことしなけりゃ謹慎なんてしなくてすんだのに……。
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