幸福は罪の味

甘楽 甘美

第1話 ゲーム説明


「皆様、今日はお集り頂き感謝します」

教室の黒板の上に設置してあるスピーカーから機械的な声の放送が流れた。

「今回皆様には幸せを求めるゲームをして頂きます。事前に配布した招待状が届いた時点で参加プレイヤー計十二人の受理はこちらで処理させて頂いたのでご心配無用です」

一人、大声を上げた。

「なっ、ふざけんじゃねぇよ!こんなん俺聞いてねぇぞ!」

坊主頭にアホ面。単細胞。馬鹿にぴったりの条件が揃っている。野球のユニフォームを着ているからおそらく野球部だろう。

スピーカーからまた機械的な声が-

「招待状兼契約書にも書いてあります。幸せになりたいから招かれたのでしょう。他の皆様もそうでしょう。しかし、ただで幸せになれるとでもお思いで?」

煽るような試すような口調で問いかけてきた。機械に一瞬だけ感情が入ったようで不気味だった。

「ええ、まぁそうですが。その辺の理解は出来ています。何か問題でもありますか」

丸眼鏡をキラリと光らせ発言する青年。ハーフなのだろうか青い瞳をしている。

「いえ特に問題は。その為の会場でですので。さて、余談は終わりにしましょう。ここからはゲーム説明となりますので皆様よく耳を傾けてお聞きください」

参加プレイヤー達の眼が鋭くなった。

「今回皆様にプレイして頂くゲームは【Hold the secret】です。名の通り【秘密を握る】ゲームです。制限時間内により多くの秘密を握った方が勝利です。なお最下位の方にはそれ相応の罰ゲームが待ち受けておりますので予めご了承ください。制限時間は一日。終了致しましたらまたここ大職員室にお集りください。皆様罰ゲームを受けぬよう頑張ってください。それではHold the secretスタートです」

坊主頭がまた大声を上げる。

「はぁ!そんなんわけわかんねぇよ!罰ゲームなんて聞いてねぇ!」

「それは僕達も同じです。招待状をしっかり読まない貴方が悪いんです。早く行動しましょう。死にますよ。それとも死にたいんですか」

青い瞳の青年の言葉でプレイヤー全員が動く。各々で大職員室から出ていく。他の教室やら別棟に移動し始めた。プレイヤー全員の眼は本気で神経も空気も全て張り詰めていた。

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幸福は罪の味 甘楽 甘美 @Izumi-Sora

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