3 均衡の環(わ)
彼女ら夫妻は、龍の願いをいつかかなえると、そう約束したのだ。
龍をしばる
その痛みから
龍の願いとは
それまでは、魔法使いの『
しかし術がとけた今、その
龍は、エルフの火が
マリスを動かす、
それを
◇
氷柱から、
すっかり
「ストラグル? なぜ……
巨大な火龍の顔が爬虫類の瞳を細めると、灯ろう中に渋い声を響かせた。
「久しいな、メディオクレス。
龍は、
そして、茶目っ気というには恐ろしい
仲間は一斉に身を引いた。
白く燃えるアカネの背に
反対の壁際に、アルとエレノア。抱き合って歯をガチガチ鳴らし、
人の身ではただ、成り行きを見守ることしかできない。
神の悪意に染まった
「時間がないとは、ご冗談を!
私達には永遠とも呼べる
そして老人は、
「この短命で
「
龍が答えると、
先に、龍が語り出した。
「
だが知っての通り、最大の善意が消えた。
龍はそう言って、巨大な黄色の瞳で老人を見つめた。
ふと、アルとマルコに交互に首を向ける。
「魔法使いの善意は、異邦人の
語る龍の口からもれる炎を見ると、アルもマルコも震えて泣きそうになる。
だがマルコは、『
混沌の神官長アエデスが、そう言った。
「まさか、そんな……」
龍は申し訳なさそうに弁明。
「終わりにしたいのだよ、メディオクレス。
我をしばる
「有り得ません!」
突如、老人はひどく興奮して叫んだ。
「
私が力になりましょう。さらなる神の石を見出し––––」
「だからそれが、困るのだ」
彼は慎重に、後ずさりした。
龍は気づかぬふりで、まるで謝るように
「
だから
日がさす床を避け階段口を目指す。
が、龍の口から
◇
さいはての海を見下ろす崖の上。
さまよえるエルフたちだ。
女王、
エルフの水、
ふたりは共に長い髪を揺らし、不安げに手をつなぐ。
背後では緊張した顔のエルベルト。
第一の民らがかたずをのんで見守る。
大灯台の
それより前、氷雪から白い炎が吹き出したときエルフたちは歓喜したものだ。
だが、突如あらわれた赤い巨龍に
しばらくたって。
待ちきれなくて女王は、娘の手を
「我らの精霊よ。どうしたことでしょ––––」
とたん、
アオイの瞳が赤く反射した。
真っ赤な火柱が、
まるで
壮大な
◇
視界をうめる炎にマルコは取り乱す。
だが白い炎が包むアカネがふり向き、微笑んだ。
すると、マルコの
ふいに叫ぶ者がしがみつく。
「あぁぢぢぢッ!」
マルコが目を落とすと、真っ黒な顔のバールがいた。
アルは、エレノアが唱えた水の球体の中にいた。
火の粉は飛ぶが、水が絶え間なく周りを流れ、なんとかしのげる。
ふうと一息ついて、
だがエレノアは、胸をおさえ赤面。
「リリーって……オトナだったのね」
アルは、前に龍を胸に抱いた彼女をうまく
ふと鋭い目で叫ぶ。
「マルコ! 終わった!」
マルコとアルたちは、炎が
魔の氷は
炎が吹いた雪壁はなくなり、灯台の柱の間から青空と
仲間はみな、
「さあ、帰るぞ」
火龍ストラグルは渋い声を響かせ言った。
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