11 戦いの下(げ)
オオオオオオオオォォォォッッ!
ダニオは異様な
ゴードンは
マリスを
赤紫に光る雲がいく筋も、彼の
口が、獣のように前にせり出す。
うなり声を上げ、金色に光る瞳でゴードンを
獣に
「……
魔力を
マルコの革鎧を着た、
それがマルコ自身だと気づいた時、アルの体は崩れ落ちる。彼は膝立ちになり、
「……ダメだ。ダメだダメだダメだダメだ。マルコーー! 君はそうなってはいけない」
目の前に伸びる両手と、力あふれる
なによりも速く。
マルコは、頭に響く言葉にならない誰かの声を、うるさいと感じた。
だが、体の
獣となったマルコは、打ち捨てられた
そして、その柄を口でしっかりくわえると
ただならぬ気配に気づいた
獣は難なく横っ飛びでよけ、地面を斜めに
そして二本の足で立ち上がり、赤い血を流す口から大剣の柄を取った。
マルコは両手で大剣を固く握りしめると、恐怖の表情でふり返る
◇
「何がどうなっている! あれ––––」
ゴードンがアルに答えを求め、駆けながら声をあげた。不意に、
ゴードンはあわててアルに向き直る。
膝立ちのアルは、獣になったマルコを見つめたまま、泣いていた。
横顔の
彼のつぶやきを、ゴードンは聞いた。
「…………父さん」
◇
獣のマルコは、四つ足で竜巻のように
雨は、いつの間にか降りやんでいた。
グリーの白い輝きが、
ダニオは、立てないまま呆然と、その姿に
無為に腕を頭上に振り回す、岩の小山のような
その上で
◇
小剣は深々と刺さり、てこのように動かすと、黒石がせり出した。
とたん足場を失い身体が落ちる。が、獣の身のこなしで回転し、着地して転がった。
「もう、やめてーーー!」
空気を裂く、聞き慣れぬ音がして、マルコはそちらを向いた。
しわが
だがその長い髪は、グリーの光に照らされて、白金色に美しく輝いていた。
ふとマルコは我に返った。
つかれ切った体をなんとか起こし、二本の足で立ち上がる。
今度は、口の中で何かが動き気持ち悪い。
あわてて手をあて、ウズラの卵のような、黒石を吐き出した。
「うぅ……」
マルコの前で、死霊のように青白い顔をした男がうめいた。
なにかの力が、マルコの手を引っ張った。
青白い顔へ向けて、小さな黒石を持つ腕が真っすぐ伸びる。
すると、不思議なことが起きた。
すうと息を吸うような音がして、男の顔の
男は
「……大っきく……なった?」
手のひらにあるマリスの黒石は、もはや小さめのニワトリの卵のように形を大きくしていた。
そして黒い面に、線の
もぞもぞと線は動き、唇のように一息吐くと、マルコに向けてにやりと笑った。
マルコは気を失って、後ろに倒れた。
◇
空き地を上から見ると、大の字になって、異邦人マルコが地面に横たわっている。
少し離れて、ボロボロの
マルコの元に、杖を持つアルとドワーフのゴードンが駆け寄る。
しばらくたって、黄色い髪の青年ダニオが小走りに駆け寄った。
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