第3話 出会い

さて寮のことを。


寮は本当に楽しかった。というか楽しいとはこういうことなのかというのを経験出来たのがここでした。


今振り返ると何があったのかと言われたら大きなことがあった訳でもないなと。一つ一つ思い出したことを書いていければ。


まず、一つは出会いです。これはいろいろあるのですが、彼のことを書かねばなるまいので書いておきます。それこそ最初はいろいろ誘ってくれて実に10年ぶりぐらいになるのかな。友人と呼べるきっかけを作ってくれたので。まあ本当にお世話になったスタッフもいるのですが


あ、関係ないですが、僕が依存傾向が結構あるというのを知ったのはこの寮でのことでした。自分から積極的に動かず、他人に流されやすく、他人のなすがままにされてしまう。誰かに頼って生きたがる所があるなと。自分から動けない所があるなと。昔のいじめに近い経験はこれから来ている所もあったのかもしれません。他人の顔色ばっかり伺って評価を気にしたりなど、寂しがり屋で嫌われたらどうしようと気にしすぎてしまうなど


今振り返るとあいつにはだいぶ依存していたなと思うのです、年下なのに(笑)それでも支配的では無かったからそういった安心感もあったのでしょうね。思い出すとうがーってなるのですが、何にせよいろいろな影響を受けたことは間違いないので。


彼はどこか不思議な考えというか発想をする奴でした。眼鏡を掛けていて、少し太め。別に太っている訳ではないですが。誰かはそいつのことを、白衣を着れば似合うと言っていたと思います。

最初そいつとしゃべっていたのは声優の話題でした。そんなに僕自身は声優のことも詳しくないし、ただ彼が割と詳しかったのでその話題でしゃべっていたのだと思います。その時は何かお互いそんなにも親しいという訳でも無く、普通に会話する程度だったかな。その頃はまだ彼の兄ちゃんの方が親しかったと、今振り返るとその兄ちゃんにも酷いことしたなと思うのですが。


いつからだったか、彼におすすめのアニメを教えてもらうことになりました。それまでの自分は、おすすめのアニメとか相手の好きな話とか聞く分には良いのですが、対して興味が持てず、どこか壁を作るような感じで、距離を置いていたと思います。その時おすすめされたというか、夜一緒に見ることになったのは『SHIROBAKO』。有名な作品ですね。初めて見ました。面白かったです。というかアニメをああやって誰かと一緒に見たのは人生で初めての経験でした。


僕がいた寮。最初入寮した時は、就寝時間とかは厳しく、その時間を過ぎるともちろんフリースペースのような場所で会話は厳禁でした。スタッフに厳しい方がいらっしゃったので。まあそれがだいぶ緩くなって。夜良く集まってみんなで会話していました。


彼には「コンビニに行かない?」と誘われて、よく近くのコンビニのイートンスペースで二人で喋っていました。前述の通り、この二人で一緒に喋るというのが実に10年ぶりぐらいのことだったのですが。あいつはポテトとか良く頼んで、自分はたまにコーラとかを買って飲んでいたなあ。当時はお金厳しかったから。


何喋っていたのかと言えば、彼自身の仕事の話(当時バイトをしていたので)、それにお金を稼ぐことに興味があるといったことや、好きなアニメのキャラクターからどう生きたら良いか参考にしているとか、あれだけたくさんしゃべっていたのに思い出せないのが残念ですが、とにかく良く二、三時間ぐらいは喋っていましたね。


彼とはその後日帰りで旅行行ったり、いろいろなものくれたりとかいろいろある訳ですが、とにかく良くしゃべったし、自分の人生で友人と呼べる人に久しぶりに出会ったなと思います。離れることになってしまい、落ち込んだけど、良い奴です本当に。





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引きこもりだった僕に起こったかけがえのない時間 耕史郎 @kousirou

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