第2話 おねえちゃんとイチャイチャ

「ほら、お風呂から上がったら体を丁寧に拭かないとダメよ」

「はーい」

 おねえちゃんはおおきなタオルで、いつもわたしのからだをあらってくれるの。


「おねえちゃんからあまいかおりがする〜」

「ふふ。そうね。愛香からも良い香りがするわ」

「わたしたちおそろい?」

「そうね。おそろいよ」

 おねえちゃんのえがおがとてもかがやいていて、おもわずだきしめちゃった。


「わっ。ふふふ。愛香は本当に甘えん坊さんね」

 なでなで。

「ん〜♪」

「愛香って頭をなでなでするの好きよね」

「だって、きもちいいんだもん」

 おねえちゃんは、めをほそめてわたしのあたまをなでなでしてくれた。


 ずっとしてほしいな。

 なんて――――。

 そんなのわたしのわがままだよね。


「ほら、二階に行こ」

「うん」


 わたしとおねえちゃんは、はだかのまま2かいへあがった。

 わたしがしたぎをはこうとすると、

「ダメよ。愛香。まだやることがあるでしょう? 私たちの愛を育まなくちゃいけないわ」

 おねえちゃんはそういって、わたしをベッドに押し倒した。


 おふろからでたばかりだから、からだがほてっている。

 おねえちゃんのかおがあかいのもそのせいなのかな。


「あ、そうそう。あの人達が来ないように鍵を閉めなくちゃね」

 おねえちゃんはドアにちかづいてかぎをしめる。


 きれい――――。

 おねえちゃんのからだは、わたしがしるどんなひとよりもきれいだった。


 モデルのひとよりも、クラスでいちばんかわいいおんなのこよりも、どんなにじげんびしょうじょよりも。


 まっしろできずひとつないなめらかなはだに、さらさらのくろかみ。


 わたしもおねえちゃんみたいにきれいになれたらなぁ。

 こころのなかでためいきをはく。

 それはかなわないねがい。


 でも、おねえちゃんといっしょにいるだけでわたしはしあわせだよ。

 きれいでかしこいじまんのおねえちゃん。


「ほら、続きをしましょう。私達だけの時間の続きを」

 おねえちゃんはわたしのりょううでをべっどにおしつけて、くびすじにちゅーをしてきた。


 グミみたいなやわらかいくちびるのかんしょくがはだのひょうめんをはう。

「んっ……」

 くすぐったい。


 それに、ぬれてザラザラしたものを、くちのなかからだしてきた。

 きもちわるい。

 でも、きもちいい。


 これはおねえちゃんだからかな。


「ねぇ、愛香。気持ちいいことしても良い?」

 おねえちゃんのはくいきがみみもとにふれてすすぐったい。


「きもちいいこと?」

「そう。気持ちいい事。きっと、愛香なら気に入るわ。私の愛香なら」


「んっ……そこはっ…………」

 おねえちゃんのてが、わたしのなかにはいってくる。


 やばい。

 わたしのなかでおねえちゃんのゆひがいやらしくうごいているのをかんじる。

 かんじちゃう。


「んはっ…………あっ……」

「愛香、もう濡れてる。いやらしい声を出しちゃって。愛香のアソコって本当に奇麗。秘密の花園ね。何も生えていない純粋な花園」


 どうしよう。

 きもちよすぎてなにもかんがえられない。


「こんなに濡れちゃって。本当にいやらしい子ね。でも、こんないやらしい姿を見せるのはお姉ちゃんの前だけでいいのよ? 寧ろ、こんなのお姉ちゃんの前でしか見せちゃダメなのよ?」

「そ…………そんなの、だれにもみせられないよ」


「ふふふっ」

 おねえちゃんのわらうすがたが、そのときのわたしにはいんまのようにみえた。


「これは姉妹同士だから許されるの。他の兄弟や姉妹もあたりまえのようにしているのよ?」

「そうなの?」

「ええ。そうよ。愛し合っているもの同士なら当たり前の行為なのよ」

「ふーん」


 それなら、いちくみのみずきちゃんのところも、ゆうくんのところも、こんなことしているんだ。

 こんなにきもちいいこと。


 わたしとおねえちゃんはちゅーをした。

 いつもよりながくてすごいちゅー。

 おたがいにしたをあいてのくちのなかにいれあったの。


 ぬめぬめしていたけれど、それがとてもよかった。

 おねえちゃんといっしょになれているきがしたから。


「ねぇ、愛香。私の事好き?」

「うん」

「愛してる」

「うん。わたしおねえちゃんのことらあいしてるよ!!」

「そう。それはとても嬉しいわ。私も愛香のこと愛しているわ」


 わたしとおねえちゃんはベッドのうえでだきあった。

 たくさんたくさんきもちいいことをした。


「そろそろね」

 とつぜん、おねえちゃんはきもちいいことをやめた。

 おねえちゃんのかおがとてもこわい。

「愛香、私がいいって言うまでここからでちゃダメよ」

 おねえちゃんは、わたしをへやのすみにあるおしいれにいれた。

「うん」

「わたしはおにたいじをしてくるから。それがおわったらいっしょにどこでもいこうね」

「うん」


 それかはのことはほんのすこししかおぼえていない。

 おねえちゃんのさけびごえ。

 いつものおかあさんのひめいと、いつものおとうさんのどなりごえが、わたしのみみをつんざいた。


 わたしはそれがいやで。

『おに』がらあらわれたときがいちばんこわくて。

 みみをりょうてでふさいで、たいそうずわりでりょうあしに頭をうずめた。


 さみしくて。

 かなしくて。

 わたしはくらやみのなかでひとりぼっち。


「おねえちゃん。おねえちゃーーーん!!」

 ちからいっぱいおねえちゃんのことをよんでも、へんじはなくて。

 どうしようもなくて。

 なにもできなくて。


 わたしはつったっていることしかできなかった。

 こころがいたいよぉ。

 おねえちゃん……。


 どれくらいたっただろう?


 やわらかいかんしょくが、わたしのうでをつかんだ。

 いっしゅんでわかった。


 やさしいひとみをしたおねえちゃんだった。


「ごめんね。寂しい思いをさせて」

「おねえちゃ……」

「しっ……。まだ目を瞑っていて。私が抱っこしてあげるから」

 おねえちゃんのうでにだかれる。

 わたしのこころにロウソクがともされた。

 はなをうごかすと、かすかにてつのにおいがした。


「私が良いって言うまで目を開けちゃだめよ?」

「うん」

 ゆりかごのなかにいるみたい。


 おねえちゃんのうではあたたくくて、ここちよかった。


「これからずっと二人よ。愛香。ずっとずっといつまでも」

 それが、わたしがさいごにきいたおねえちゃんのこえだった。

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おねえちゃんりゅう、わたし(いもうと)のそだてかた 阿賀沢 隼尾 @okhamu

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