おねえちゃんりゅう、わたし(いもうと)のそだてかた
阿賀沢 隼尾
第1話 おねちゃんりゅう、わたし(いもうと)のそだてかた
わたしとおねえちゃんはとってもなかよし。
わたしはおねえちゃんといつもいっしょ。
きょうもおねえちゃんといっしょにおふろにはいった。
わたしのからだは、いつもおねえちゃんがあらってくれた。
おふろにはいると、いつもおねえちゃんがするしつもんがあるの。
「ねぇ、愛香。お姉ちゃんのこと好き?」
「うん。おねえちゃんのことだいすきだよ」
「それじゃあ。お姉ちゃんのどういう所が好き?」
「え~とねぇ。……全部!」
「愛香~~~~!!」
「んっ……」
おねえちゃんはぎゅっとうしろからわたしをだきしめてくれるの。
おねえちゃんのおはだは、やわらかくて、とってもあまいにおいがするからわたしはすきだなぁ。
「私も愛香のこと大好きよ。世界中で一番大好き。周りの人は姉妹で『好き』になるのはおかしいって言うけれど、私は当たり前のことだと思うわ。だって、姉妹で愛し合うのは当然でしょう? ねぇ、愛香もそう思わない?」
「うん」
わたしのからだじゅうをおねえちゃんにさわられるの。
はずかしいところもさわられるの。
でも、おねええちゃんがいうには、それはしまいではあたりまえのことなんだって。
「愛香。お姉ちゃんは愛香にどんなことがあっても守るからね」
そういいながら、おねえちゃんはわたしのはずかしいところにゆびをいれてくるの。
でも、もう四年間ずっとされていることだからあたりまえのことなんだっておもう。
きょうだいも、しまいもみんなこういうふうにあいしあってるんだなって。
そう。
おねえちゃんはわたしのことをとてもたいせつにあいしてくれているの。
「ねぇ、愛香。私はね、愛香のことを愛しているのよ」
「あい?」
「ええ。愛よ。愛って言うのはね、相手の事を大切にする気持ちのことを言うのよ」
「たいせつに?」
「ええ。そうよ。私が愛香にしていること全ては『愛の力』なの。愛している人たちはみんなやっていることなのよ。何ら不思議なことではないわ。血を結んだ姉妹や兄弟が愛し合うのは自然なこと。ねぇ、愛香もそう思わない?」
「そ、そんなのわたしにはわからないよ」
「そうね。少し大きくなってから分かるわ。ねぇ、愛香。気持ちいい?」
「うん」
おねえちゃんにはさからうことができないんだ。
だって、おねえちゃんはとってもえらいから。
いえでおねえちゃんにさからえるひとはいない。
おねえちゃんはとっってもえらいの。
だから、おねえちゃんのいうことはぜったいきかないとだめなの。
だって、わたしはいいこにしていないといけないから。
「愛香。貴方はもっとお姉ちゃんに甘えても良いのよ。お姉ちゃんも愛香に甘えるから」
そういって、わたしのいろんなところにちゅーをしてくるの。
おねえちゃんのやわらかいくちびるがくすぐったい。
「これもね、愛情表現の一つなのよ。愛し合っている者は誰でもこうしているものよ」
「でも、ママとパパがしているところはみたことないよ」
「だって、あの人達は愛し合って無いもの。あれはね、愛じゃないの。ああいうのはね、『共依存』って言うのよ」
「『きょういぞん』?」
「ええ。そうよ。『共依存』。あの二人はああいう風にしか生きる事ができない。あの関係でい続ける事があの二人にとっては幸せなの。お父さんはお母さんのことをATMか、もしくは、肉便器程度にしか思っていないわ。お母さんはお母さんでお父さんのことを『放ってはおけないひと』。『お父さんは私が守らなきゃ。私が養ってあげなきゃ』って思っているのよ。良い? 愛香。人っていうのはね、『信念』で動く生き物なの。お母さんはお父さんを育てるという『信念』に従って今を生きている。それは、決して私達の為ではないわ。あの人にっての生き甲斐はお父さんだけなの。人は何かに縛られていなくては生きてはいけないものよ。人間関係、時間、思想、信念――――。それが何であれ人は自由過ぎると本能のまま生きてしまう。それじゃ、動物と同じよね。ヒトは、自らを『拘束』することで初めて『人』になることが出来るのよ。そのことを良く覚えていなさいな。愛香」
「うん。でも、おねえちゃんのいっていることむずかしすぎてよくわかんないよ」
「そうね。今の愛香には少し難し過ぎたわ。ごめんなさいね」
おねえちゃんはそういうと、わたしのあたまをやさしくなでなでしてくれた。
おねえちゃんのおててはやわらかくて、マシュマロみたいできもちよかった。
「さ、こんなお話はここでお終い。一緒に温かいお風呂に入りましょう」
「うん」
おふろからはおねえちゃんのあまい、おかしのようなにおいがした。
わたしはおねえちゃんとむかいあってすわった。
「そうよね。私も愛香に依存しているのよね……。それが『愛』の形でもあるのよね。これは決してあの人たちのような歪んだ関係ではないわ。決して、違う」
「おねえちゃん?」
おねえちゃんはおふろのすいめんをながめていた。
そのめはすいめんをながめているようで、どこかとおいばしょをみているようにわたしはおもえた。
「ううんなんでもないわ」
なでりなでり。
「愛香、お姉ちゃんのこと好き?」
「うん!」
「大好き?」
「うん! 大好き!!」
「私もね、愛香のこと大好きよ。愛香、おいで」
おねえちゃんのほうにちかづいて、あたまをなでてもらう。
「愛香、愛しているわ」
おねえちゃんはわたしのあたまにちゅーしてきた。
「くすぐったいよ。おねえちゃん」
「これは私にとっての愛情表現なのよ。我慢しなさい」
おねえちゃんのちゅーはあまいにおいがする。
おねえちゃんのくちびるはやわらかくて。
それだから、わたしはそのかんかくをずっとあじわっていたくて。もっとかんじていたかったから、わたしはおねえちゃんにいわれるがままにされていた。
「んっ……」
おねえちゃんはわたしのくちびるにちゅーをしてきて、べろをわたしのくちのなかにいれてきた。
なまあたたくて、わたしのしたとおねえちゃんのしたがまざりあう。
おねえちゃんとひとつになれそうなきがした。でも、おねえちゃんとひとつになることはぜったいにむりなんだって、わかっていた。
「んっ……。くっ……あんっ………むん……おねえちゃ……き、きもちいぃ…………」
「んくっ、あっ……んはぁ……。愛香も変態さんね。私に似たのかしら。こんなこと、お姉ちゃんとしかしたらダメなんだから。他の人とヤルのは絶対に駄目よ。良いとしても、お姉ちゃんが許可した人でなくちゃ駄目なんだから」
「なんで?」
「それは…‥。愛香が未熟だからよ。私が愛香を育ててあげないと誰が育てるっていうの? お母さんやお父さんの言いなりになるのは嫌でしょう?」
「うん」
「それじゃ、お姉ちゃんならどう?」
「いいよ。わたし、おねえちゃんのいうことなら、なんでもきく」
「ふふふ。良い子ね。それでこそ私の妹だわ。さ、お風呂を出て私達の愛を育みましょ」
わたしとおねえちゃんはおふろからでると、わたしたちのへやにむかった。
「さあ、いつもみたいにベットに横になりなさいな。愛香」
「うん。おねえちゃんのいうことならなんでもきく」
ベッドのうえでよこになる。
おねえちゃんはわたしのりょうてをつかむと、ちゅーをしてきた。
ここからはわたしとおねえちゃんのせかい。
おねえちゃんといっしょにいると、むねがどきどきする。
おねえちゃんにきこえてないかな。
きこえてたらはずかしいな。
でも、このきもちってなんだろう。
おねえちゃんのいう『あい』とはちがうのかな。
おねえちゃんにならわかるのかな。
おねえちゃんはなんでもしっているから。
おねええちゃんにきけばなんでもおしえてくれるから。
おねえちゃんはわたしのいちばんすきなひとだから。
おねえちゃんはいちばんあたまがいいから。
だから、おねえちゃんのいうことならなんでもがまんでるし、『いいこ』にしているよ。
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