果てのない旅路

「ポアンカレ号、オールトの雲を突破しました。」

コンピューターがアナウンスを発する。


 グリゴリーは、このミッションが達成できるとは全く思っていなかった。


 光速の99.99999%で移動しているとしても宇宙はあまりにも広い。旅の途中でガンマ線バーストに巻き込まれるかもしれない。ブラックホールに飲み込まれるかもしれない。異星人に攻撃されるかもしれない。あまりにも危険な旅路だ。


 仮にそれら全てを乗り越えたとして、戻ってくるまで人類の文明は残っているだろうか、もしかしたら地球すら無くなっているかもしれない。地球時間で50億年後には赤色巨星と化した太陽に飲み込まれてしまうからだ。


「それでも。」


 グリゴリーは呟くようにいう。


「もし成功して宇宙の形が分かったなら。」


 グリゴリーはニヤリと笑った。


「丸かったらピザを、穴が開いていたらドーナツを食べよう。」


 ポアンカレ号の旅路は、まだ始まったばかりだ。

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ポアンカレ号は宇宙を廻る ヒトデマン @Gazermen

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