ポアンカレ予想

 地球が丸いということを確かめるにはどうすればいいだろう。


 地球平面説とかそういう話ではない。トポロジーという数学の分野の話だ。地球が平面だろうと金平糖のようであろうと長方形だろうと球形だろうと、お椀だろうとトポロジー的には全て同じ、球なのである。


 トポロジー的に区別されるのはその物体の穴の数による。例えばドーナツとちくわはトポロジー的には同一なのだ。


 では本題、地球が丸い、つまり穴がないことを確かめるにはどうしたらいいか。


 まず、長いロープのついた飛行機を用意する。ロープの端を持って飛行機を地球上のあちこちに飛び回らせる。そうして帰ってきた飛行機のロープの端を持ち、手繰り寄せて回収することができたら地球は丸い。途中で引っかかったら地球は丸くないということだ。


 え?ドーナツの側面を通ったらロープが回収できるって?大丈夫、ロープは常に物体の表面に張り付いていることになっている。ドーナツの穴に引っかかる筈だ。


 え?ロープがエベレストに引っかかるって?

 ……そういうのは考えないことにする。


 宇宙でも同じことである。宇宙にロープのついたロケットを飛ばし、地球に戻ってきたらロープを引っ張る、回収できたら宇宙は"丸い"。できなかったら穴が開いているということだ。


 これを証明したのがポアンカレ予想であり、これに基づき宇宙の形を確かめに行くのがポアンカレ号の役割なのである。

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