出会い。そして別れ

@yamada

第1話

中学三年生の夏。彼女と話したあの時間。

あれは忘れもしない。後悔した時もあれば、

感謝した時もあった。もう彼女はいない。

そう思えば思うほどあの日を思い出す。


~修学旅行~ in長野


「楽しかったなぁ!」

「あっという間だったねー。」

「戻りてぇー!」


色々な感情が行き来するバスの中で

カラオケ大会が始まった。


「潤!もっと歌えよ!」

「なんだよ正。。。眠たいから無理…」

「なんだお疲れか?早めに休めよ!」

「お前らが黙ってくれたらいいのにな」

「そんな酷いこと言うなって。ほら。

前の席は静かだからそこで寝たら?」

「そうするよ…」


そういうって前の空いてる席へと移動し、

眠りについた。


「みなさん!そろそろお昼ご飯のお時間です!」


バスガイドの声が耳に届いて起きた。

「んん…もう昼か…」


「本日のお昼ご飯はわさび農園での食事となります!雨も降っているので足元に気をつけてくださいね!」


(わさび嫌いなんだよなぁ。しかも雨って…)


「おう!潤起きたか」


「おはよ」


「昼飯わさびあるかもな。潤わさび嫌いだったよな」


「ああ。それにしてもわさびは嫌いだからこの後の昼飯は憂鬱だわ。」


「それはどんまいだな」


そう愚痴をこぼしてバスをおりた。


一同「ごちそうさまでしたーーー」


全然食べれなかった、いくらわさび農園と言えどあれはやりすぎ。


「みなさん!ここにお土産屋さんがあるのでお土産を買いましょう!」


「正?どこ行くんだ?お土産屋いくぞ」


「潤…トイレ行くから先行っといてくれ…」


「はいはい。待っとくから早く来いよ」


「トイレくらいゆっくりさせてくれよ…」


そう言葉を交わしてお土産屋さんへ。

ん?あそこにいるのは…

1人で険しい顔をしながら何かと見つめあっている女子がいた。

あれは…織田 未夢。


「織田何睨んでんの?」


「あ、潤。このクマのぬいぐるみ可愛いなぁと思って。」


「確かに可愛いな。買えば?」


「うぎっ。そ、その。お、お金がね…」


「んじゃ俺買ってもいい?」


「え?ほんと?」


「プレゼントするわけじゃないよ?」


「なーんだ。」

ちょっと拗ねた顔してる。可愛い。

織田未夢は綺麗と言うより可愛い系だと思う。髪の毛はボブで幼い可愛さがある。


「まあバスの乗ってる時くらいなら貸してあげるよ」


「ほんと!ありがとう!!!」


くっっっ。。。可愛いいいいいい

反則だ。1年生の頃からあまり喋らなかったから印象はあまりなかったけどかなり可愛い。


「んじゃ買ってくるよ。」


「ん!待ってるね!」


「ほいほい」


さあて。どつやってバスまで行くか。

外は雨。だんだん強くなってきてる。

傘はバスから食堂まで近かったから持ってこなかったけどまさか誤算だったとは…


「走らないとだね…クマのぬいぐるみちゃんともった?」


「うん。ちゃんともってる。んじゃバスまで走るか。」


「おーい。潤!まってく…あいつ織田さんと仲良かったっけ?まあいい感じだからそのままにしといてやる。」ニヤニヤ


「足元濡れてるからコケないようにね。

織田さんいっつもコケてる印象あるから。」


「ドジ扱いしないでよ。。。」


「行くよー。せーの!」


おりゃぁぁぁぁぁ

なるべく濡れないように走った。織田さんを置いていかない程度に。片手にはクマのぬいぐるみをもって走る。


「あっ…」


手から何かが滑り落ちた。

クマのぬいぐるみだ。

ちょうど水溜まりに落ちた。


「あははーやっちゃったね。」


「織田。これはまずいことになった。」


「とりあえず拾ってバスまで行こ!

それから考えよ!」


「そうだな。」


そのあとバスまで戻り織田さんとどうするか話し合った。とりあえず乾かして胸ポケットにでも入れてたら可愛い。と言われその通りにした。いつの間にか席が隣同士になり、距離も縮んでいた。


「織田?」


気付くと織田未夢は眠っていた。


「スヤァ」


幸せそうに寝ている。こういう時はほっぺたをつつきたくなるがそれどころではなかった。彼女の手が俺の胸ポケットに伸びていた。理由は簡単。クマのぬいぐるみがそこにあるから。


「どうすんだよこれ…」

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