味覚の季節

季節柄か

様々な美味いものが

そこら中に並んでいる

食になんて興味ない

そう言いたいはずなのに

口は言葉を少しも漏らさず

手がさりげなく拾い上げた

秋の味覚を

咀嚼することに

忙しい


季節には季節の美味がある

もう失われてしまった

旬という奴が

秋になると

急に権威を取り戻す


食の季節は

残酷なほど

僕の視線を定めさせず

案の定

僕の食指は抑えがたく

視線は皿から皿へ

休むことなく動いている


全部

食べ尽くすことが

できたら良いのに!

でも実際に無理な話で

その分

真剣に吟味して

選ぶしかない

それでもなかなか

選べないのも

秋の残酷さ

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