慣れることと錯覚

あなたの前に

ナイフを持った人がいる

ナイフが振られる

今にもあなたの肌を

服を切り裂きそうだ

当然

身をかわす

逃げる

近寄りたくないと思うだろう

あるいは誰かに訴えるかもしれない

話を聞いた人が

こんなことを言い出す


あなたの他にも

ナイフを向けられた人がいます

でももう慣れて

恐怖も不安も感じていません

あなたも慣れていきなさい


選択することができる

慣れることなど不可能と逃げるか

慣れるつもりになって

ナイフが自分を切り裂くまで待つか


悪意に

害意に

慣れていったら

きっと世界は

明日にも地獄になるだろう

いや

もしかして

すでに?

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