儚い人へ

何度も繰り返し

同じ曲を聞いていた

何度もその声を

曲を歌詞を

心に染み込ませるように

聞き続けた


いつまでも

新しい曲が

ふっとラジオから流れてくるような

そんな感じが残っている

十五年なんて

あっという間だ

でも十五年

十五年だ


CDラックの一角に

あなたの名前が

まだ残っている

きっと手放すことはないだろう

擦り切れることのないCDが

擦り切れるほど聞いても

決して手放さないだろう


懐かしい

そんな言葉を使ってしまうと

自分だけが

勝手に先へ進んでいるような

そんな気がして

不安になる


まだ僕は

あの人の声に

じっと耳を澄ませている

儚げな高音の震えが

心に伝わってくる

そんな気がした

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