氷が

急に存在感を増す季節

水の流れが

涼やかで

そっと足を浸してみる

柔らかな水のうねりと

弾ける雫

深く息を吐いて

何度も繰り返し

水をかき乱して

蹴り上げる

空中に

キラキラと一瞬だけの

昼間の宇宙


日陰でも

空気はどこか粘っこく

熱がこもる

風が吹くと

梢が揺れて

不思議と涼やかなものがある

ただの風に

油断したら

熱に飲まれそう


家に帰れば

エアコンの風が

楽園みたいに

部屋を作ってくれていると思うと

どこか

その作り物の小部屋が

まさしく作り物の楽園で

不自然なものなのだと

急に理解した

そんな灼熱の

帰り道

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