雑音の効能

クリアな音しかない世界

そんな世界がどこにあるのか

誰かが森を連想したとして

木々の枝葉が擦れる音は

音ではないのか


ラジオから流れるトークに

激しく雑音が乗る

モノラルの声は

どこかくぐもって低い


いつの間にか

雑音はどこかに切り離され

スピーカーからは

綺麗な音が流れていた

そのどこか物足りない音に

違和感を感じるのは

おかしなことだろうか


雑音の中にある声が

どうしてか

より身近に感じられた気がした

今はもう聞くことのない

古い時代の

古い意思疎通

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