望んだ傷

自分がボロボロになれば

見捨ててもらえると思った

傷ついている様を見せれば

誰かが手を差し伸べてくれる

そう信じていた


傷が痛んで

見えない血が流れても

誰も見向きもせず

まっすぐ前だけを見て

進んでいく

こちらが見えないのか?

この血が見えないのか?

叫べば良いのか?

のたうちまわれば良い?

でも僕は何もせず

傷を押さえて

すっと立ち上がり

前を見た


こんなところで

座り込んで泣き喚いても

僕は一歩も進めない

そう気づいた

痛みがそれを

教えてくれた

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