二度目の翼

墜落する光景に

身がすくんで

激しく変わる視界の恐怖で

思い切り目を閉じた

強い力が全身を打って

地面に叩きつけられたまま

動けずにいた


どれだけが過ぎても

恐怖は去らず

体は震えて

痛みが消えなくて

じっとうずくまって

耐えていた


不意に光が差して

体を包み込んだ時

やっと顔を上げた

光が見たい

光を求めている自分が見ている先で

小さくチカチカと光が瞬く

高く遠い

その光に手を伸ばして

気づくと立ち上がっていた


折れた翼を震わせ

痛みに耐えて

一心に上だけを見た

もう一度

飛びたい

光に向かって飛びたい

そのひたむきな思いに

背中でぎこちなく

翼が揺れた

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