第4話



「俺の知らないところで会ってるの?」


「えっと…」



そっか。


昔からの仲とはいえ、今は壱夜と付き合ってるんだし私の行動は軽率だったかも…。


そう思っても、もう遅くて。



「ごめ…「今日はここに泊ってきなよ」



謝ろうとした私の言葉に、壱夜はそうかぶせてきた。



「いや、でも…」


「なんで?昔はよく泊まってたじゃん。母さんも喜ぶよ」



でもそれは本当に小さい時の話で…。


それにこれから理央が来るって、今言ったよね…?



「でも急だし…」


「明日休みだし。もっといっぱい勉強教えてあげれるよ」



壱夜は、まるで私の意見は聞く耳ないって感じで。


その冷たい態度とは反対に、壱夜は愛おしそうに私の頭を撫でる。



「でも理央が…「泊まって行きなよ」



有無を言わせない壱夜の言葉は、やっぱりちょっとだけ怖い。


なのに、心臓の音が自分でも分かるくらいドキドキしていた。



壱夜にそんな事言われたら従わない訳にはいかないじゃん…。


理央ごめん、って心で謝りながら、私は黙って頷いた。









.end

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編】俺の言うこと聞けないの? 咲倉なこ @sakura-nako

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ