コメントシート

ヒガシカド

コメントシート

 人文学系の講義では、コメントシートを課すことが珍しくない。しかし私の講義ではコメントシートを電子化している。この取り組みは本学では少数派のようだが、学生からは講義終わりに急いで書く必要が無いのが良いと、評判は上々だ。

 私は今期、水曜日の四限目に講義を持っている。学生の数は約四十人で、ほとんどの学生がほぼ全回出席している。ゆえに一度の講義で貰うコメントシートの数は常に三十枚を超す。フィードバックが重視されるこのご時世、私も提出されたシートには極力コメントを添えて返すようにはしている。しかし、一つ悩みがある。ある学生のコメントシートに関して…

 単純な字の打ち間違いなら問題なく読めるのだが、彼(もしくは彼女、番号のみで管理されているため性別は分からない)の文章は、言うなれば文章として成立していないのである。昨今、SNSの普及等により長文読解や表現力に問題を抱える若者が多いと言われている。私もそういった学生を何度も見てきた。しかしその文章は、それとは別種の読みづらさがあるのだ。どう表現したものか、仮にその書き手と会話することがあったとしたら、私達は全く意思疎通が出来ないのではなかろうか。書き手が留学生である可能性も考えたが、今までに見てきたどの留学生もそのような文を書くことはなかった。

 そしてまた奇妙なのは、彼もしくは彼女の文章が講義の回を追うごとに読みづらくなっているという点だ。無論コメントシートに完璧な理路整然さを求めているわけではないが、それにしても読みづらいので文章に関して何度か講評を加えた。しかし読みづらさは悪化の一途を辿っている。そして学期の終わりに近づく頃、彼もしくは彼女のコメントシートは、もはや文章として成立していないレベルになっていた。文字化けじみたその文章に、私は恐怖すら感じ始めていた。


 これまた人文学系の講義では定番だが、私は講義内容に関するレポートを学生に課すことにしている。テーマに幅を設けたので、必ずしも私と専門分野の被っていない学生にも取り組みやすい内容となっていよう。提出も勿論、電子サイト上で行う。

 提出期限が近づき、学生たちのレポートがサイト上に集まってきた。提出期限から二週間後が成績発表なので、それまでに全員分に目を通し評価しなくてはならない。期限日の五時ちょうど、私はサイトを締め切りレポートを読みにかかった。

 レポートは玉石混交で、鋭い指摘もあれば間に合わせの丸写しもあった。私が授業で提示した可能性に関して深い考察を加えたレポートがあり、私はそれに深い感銘を受けたのだが、残念なことにそのレポートには学籍番号が明記されていなかった。サイト管理のため突き止めることは可能だが、書式を整える練習として私は字下げ等を課していたのだ。しかし内容は申し分ない。レポートに評価を加えようとしたその時、誰かからメッセージが届いた。

 タイミングの良いことに、差出人はそのレポートの書き主からのようだ。期限後ではあるものの、書式にミスを発見したため訂正版のレポートを送付するとのことだった。受領確認のメッセージを返し、私は早速添付ファイルを開いた。


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