第4話 朝月夜





「ヨツバ〜!早くおいでよ!」


「マイカ!前を向いて歩かないと危ないですよ!」


「大丈夫、大じょ…きゃっ!」


「ほら、だから言ったではないですか」


「ふふ、ヨツバなら支えてくれるって信じてたもん」


「ならもう転ばないように手でも繋ぎましょうか」


「う、うん」


「何も今更恥ずかしがることはないでしょう?」


「べ、別に恥ずかしがってなんかないし」


「ではほら」


「はい…」


「あとどのくらいで着きますかね?」


「この通りを抜けたらすぐのはずだよ」




「なるほど、これは…」


「ねっ!すっごく綺麗な桜でしょ?」




「何とも心奪われる光景ですね」


「でしょでしょ?ヨツバなら絶対に気に入ると思ったんだ!」




「マイカ」


「ん、どうしたの?」


「私と結婚してください」


「っ!………私ずるい女だよ?」


「そうですね。でも優しさ故のずるさだと私は知っています」


「嘘もついてたし」


「私も嘘をついていたのでおあいこですね」


「胸も小さいよ?」


「そんなマイカも好きですよ」


「…やっぱり変態じゃん」




「はいはい、それで返事は?」


「…………………はい、こんな私でよければ」


「顔が真っ赤ですよ?」


「そ、それをいうならヨツバだって顔真っ赤じゃん」


「それは、一世一代の大告白を今したところなんですから当たり前じゃないですか」


「それ私の大事なセリフ!」


「ふっ」 「ふふふ」




「マイカのことを一生幸せにすると、この場所に誓いますね」


「なら私も、私の死神様にヨツバのことを一生幸せにすると誓うよ」


誓いのキスを重ねる二人を祝福するかのように、桜の花びらがヒラヒラと舞っていた。




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明日、死神に会えたなら 雨空 リク @Riku1696732

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