五日目 この旅最大の移動 ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダ4州横断
ロードキルについて運転しながら考えてみた
これだけ走ってくると景色も変わります。
サボテンやブッシュ(低い木)ばかりが広がる荒野から、草や葉をつける木々が生える緑の土地へ。次第に沼地が多くなり、霧に覆われる湿地帯へ。そして、池が多く点在する開けた半島へ。
当たり前なのですが、景色(植生)が変わればそこに住む動物も変わります。
都市部では人付き合いと諧謔に長けた人が、山の近くでは変に動ける変態どもがいるのと同じ感じです。はい、僕は高校生の時に、他の中学からの部活仲間にそう言われました。「○○中学(山の上にあります)の人って、変に動けるよね。やっぱり山育ちは違うわ」と。
同じ市内だわ。心外だ。
と抗議しましたが、周りを見ていると(大人を含めた)全日本ランカーの走り屋、ムキムキのラグビー部×2、猿のように飛び回る僕、という何とも言えない布陣だったので説得力が逆に皆無でした。
さて、旅の話に戻りましょう。
植物が変わるのは景色を見れば分かる。じゃあ、動物が変わるのは時速130km/時で走る車の中からどうやって分かるのだ。という疑問をお持ちでしょう。
とはいえ、動物も結構な頻度で見れるんですよ。
ほぼ100%死体(ロードキル)ですけどね。
つまり、道路脇で死んでいる動物の種類が変わってくんです。
これはとても面白い発見でした。きっかけは英会話の先生との会話です。「テキサスはアルマジロが住んでいるから、もしかするとロードキルのアルマジロが見れるかもね」と聞いていたからです。だから、僕は結構ロードキルを見るたびに何が轢かれているのかを見るようにしてきました。
アリゾナ、ニューメキシコくらいまではやっぱりコヨーテが多かったですね。次点でウサギ、猫、鹿と言う感じかな。
荒野を超え、高地を超えてテキサスの東側までくると次第に鹿が多くなってきます。そして、ルイジアナに入るころにはアライグマが大量に横たわっていました。しっぽがしましまだったのでアライグマだと思います。それ以外は良く分かりませんでしたが、イタチ的な何か?
アルマジロは見かけませんでした。良いことだとは思います。フロリダではアリゲーターが見れるのかな、と少しビクビクしています。
こうして見返すとやっぱりなかなか特徴的ですよね。そして、はらわたをぶちまけてこと切れている動物をみると、なんだかやる瀬なくなります。
「キミがこんなことになるなら、僕が美味しく食べてあげたかったなぁ」と思います。
なんというか、死ぬのが決まっているのなら、その血肉を吸収したいというか……。これは人の深い業だと、罪だと糾弾する方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は肉も野菜も食べて生きている以上、食に関しては思う所があります。
別のエッセイでも書きましたが「キミが死ぬなら僕が食べたい」と、僕を乗せてくれている馬に対して思ったことがあります(※1)。
逆に言うと、僕が死んだ時はその後はどうなろうがどうでも良いというのが正直なところ。死んだ瞬間に僕と言う自意識は存在しなくなりますからね。知りようもないですし、どうなろうが何かを思うことすらできないですから。自分が死んだ後のことを考えるのは無意味です(遺産とか、迷惑とかそういう次元の話ではありません。それはまた別のお話しです)。
でも、無意味だと思っていても「どーせなら何かに、出来れば可愛い哺乳類の動物たちに食べられたいなぁ」と考えてしまいます。火葬されて、骨だけになって大切にしまわれるくらいなら、何かの糧になった方が僕以外の皆にとっては有益だよなぁ、と。
その意味で鳥葬とかは遺体が酷いことになるそうですが、良いかもしれませんね。僕は大した存在じゃないからこそ、最期(の後)くらいせめて何かの役に立ちたいのかもしれません。
そういう意味では、過大な承認欲求の現れなのかもしれませんね。
道端で命を散らしている動物を見て、そんなことを思いました。残念とは思いますが、それも生なのでしょう。理不尽ですが、運が悪かったのですね。
考える時間があったわりに、考えがまとまりませんでした。
とにかく、僕は死んだら好きな動物に食べられたいということです!
※1 第41回 「いただきます」は、あなたを殺します、みたいな。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888425664/episodes/1177354054888708268
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