現獣録 〜現代魔獣対策課活動記録書〜

井原依善

第1話 取り替え子 その①

「はい、ゲンマですけれど…」

『チッ、なんだ貴様か。どうせなら見柱みばしらのヤツでも出せってんだ。ほら変われ、すぐに変われ』

「開口一番に出てくるセリフがそれですか。大臣サマがこんな体たらくでは、この国の未来はどうなるんでしょうねぇ」

『俺が死んだ後の事なんて知ったこっちゃないね。……いや、まあ、そんな事はどうだっていい。見柱に代わらせる時間ももったいない。いいか手短に言うぞ。

が見つかった。

楽しい楽しいオシゴトの時間だ。情報は送るからあとはそっちで方を付けろ。期限は設けないが可能な限り早急にだ。以上』

「はいはい分かりましたよっ、と。

ーーあら、返事も待たずに切っちゃいましたか。しかしあの人もよっぽどいそがしかったんでしょうねぇ……あれだけしか構ってくれないなんて、珍しい事もあるモンです」

「気にすべきところはそこではないと思うのだけど?」

「おや、いらしたんですか志垣さん。ひと声かけてくだされば良かったのに」

「いえいえ、そんなに気を使わなくて良いわよ。ともあれ、久々の仕事らしいじゃない。

今回は取り替え子でいいのかしら?」

「ええ、お願いします。あなたの資料とジイさんの資料が揃ったら仕事を始めますので。

厄介なことにならないと良いんですけどね……」

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