ディープブルー・グー:涙滴


 彼は私の希望だった。私の望む世界には、彼の存在がどうしても必要だった。

 私は彼を――愛していた。


 絶望と憎しみに満たされた私の中に、唯一残った美しいもの。死と破滅そのものに成り果てた私が、ただひとつ失わなかった、純なる思い。


 ヒトを、ミトラを、全てを滅ぼしたあとのまっさらな大地で、彼と共に愛を紡ごう。

 そのとき初めて、命は祝福されるべきものとなり、文明は尊ぶべきものとなり、この世界は価値あるものとなり――


 ――そしてようやく、私の愛はまっとうされるのだ。

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