大好きなあなたへ

@takamatsu_a

大好きなあなたへ


こんにちは。お元気にしていますか。

なんて、変だよね。昨日も会ったのにね、ごめん笑

えっと、急にお手紙を書いてごめんなさい。こんなのってガラじゃないのはわかっているんだけど、どうしても伝えたいことがあったので...なんて、今更説明するまでもないかな。



、、、変にぼかすのもおかしいし、いきなり本題書いちゃうね。




私はこの度、遠くの学校に転校することになりました。




...まあ、今更改まって言わなくても、きっと今日の朝礼で聞いたよね。びっくりしたかな、怒ってたり、もしかしたら寂しがってくれたりなんて、するかな。なんて、さすがにそれは思い上がりがすぎるかなあ。でもだとしたらちょっと嬉しいかな。なんて。







...ごめん、ごめんね。怒るよね、多分、怒ってるよね。どうして言わないの、親友だったのにって。


ごめんね。本当にごめんなさい。


一つだけ、言わせて欲しいのが、あなたの事を嫌いになったわけじゃないんです。

本当です。ずっと変わらずに、私はあなたのことが、本当に本当に本当に大好きで、世界でたった1人の、他にいない、唯一無二の大切な親友だと、そう思っています。

これだけは、これだけは、本心です。

今更信用なんて1ミリもないかもしれないけれど、これだけはどうか信じてください。



....ごめんなさい。こんな風に言ったら、優しいあなたはきっと、こんな私の言葉も全部受け止めてくれるんだよね。悲しい顔で、でもいつものあの優しい口調で、じゃあどうして?って、聞いてくれるんだろうなって。

全部わかるよ。親友だもの、あなたのこと本当に大好きだから。だってそんな貴方が堪らなく好きなんだから。

あなたなら私を信じてくれること、全部わかっていて、それをこんな風に利用してしまう私を、どうか許してください。






あのね、実は今回の転校は、自分から望んだことなんだ。


半年前にお父さんの転勤が決まって。でも、おじいちゃんたちはこっちに残るから、私はこのまま、この街で暮らす予定だったの。でも、私無理言ったんだ。家族に頼み込んで、転勤について行かせてもらうことになったの。


なんて...そんなことを言ったら色々心配かけちゃいそうだね。大丈夫だよ。学校のみんなは優しいし、いじめとか、嫌なことがあった訳じゃないんだ。本当です。だからそんな顔しないで。

みんな大好きよ。もちろんあなたのことも。本当に大好きなの。




あのね、あのね、聞いて欲しいの。

あなたに出会えたことで、こんな生ゴミみたいな人生が救われたんだよ。

あなたはいつもみんなに優しくて、こんな私にも唯一無二の親友だって、言ってくれた。

こんなこと言うのマジに照れくさいけど、決して大袈裟じゃないよ。救われたんだ、私。


ごめんね、気持ち悪いよね。でも、これを読んでもあなたは優しいから気持ち悪いなんて思わないで、小さく照れて「ありがとう」なんて言うんだろうなあ。

あぁ、あぁ、違うんだ。そうじゃないの。多分ね、気持ち悪いのほうが正解なんだよ。あなたが私を気持ち悪がってくれたらどんなに楽だろう。きっとこの気持ちは、いくら言葉にしても、一割だってあなたに伝わってない。もどかしいな。



そうだよ、あなたは私を嫌いにならない。

嫌いになってくれない。

だって、本当に優しいから。


あなたは頭が良くて、運動もできて、背がすらっと高くて、努力家で、私だけじゃない、みんながあなたを大好きで。

私は、頭が悪くて、運動はおろか1人じゃろくに生活もできない、怠惰で、愚鈍で、なんの取り柄もないのに。



どうしてなんだろう、どうしてあなたは私を親友と呼ぶのだろう。




...私は貴方の親友でいるのが辛かった。




...違う!!違うの、あなたと比べて自分が惨めになるとか、だから転校したとか、そういうわけじゃないの。

大好きなあなたとこんな自分を比べるほど、驕り高くはないよ。そんな気持ちは微塵もない。本当だよ。そんな理由じゃないの。

私、あなたのことが純粋に、心から、大好きなのよ。だから、本当の理由はもっともっと単純で馬鹿らしいんだよ。



私、あなたの欠点になりたく無かった。



ただ、私が、私という存在が隣にいることが、私があなたの親友であるということが、あなたの親友が私であるということが、完璧なあなたの、大好きなあなたの、たった1つの汚点になってしまう気がして。

怖かった。怖くて怖くて、辛くて辛くて、毎日、毎日、苦しくて、怖くて、いてもたってもいられなかった。私あなたのことが本当に大好きなんです。だから、だから、横にいるべきなのは絶対に絶対に私じゃ、私なんかじゃ、ないことに、目を背けられなかった、耐えられなかった、耐えられなかったんです。私はあなたの欠点になりたくなかった。あなたを好きになるほどに、あなたの横にいるのが私がという事実が疎ましくて、素敵なあなたを汚してしまうって、嫌で嫌で嫌で仕方なかった。いや、私がいる程度であなたの素敵さが失われることはないって、それもわかっているんだけど。でも、あなたはいつも眩しくて、素敵で、完璧で、そんなあなたのことが、世界で一番、本当に本当に、あなたのことが、あなたの全部が、全部が全部が全部が、大好きだったから、






ごめんなさい。






親友だからという盾を使って、貴方を裏切る私を、どうか許してください。

あなたの優しさにつけ込んで、あなたを悲しませる私を、どうか許してください。

この手紙を、結局貴方に渡すことができないまま、貴方の元を去る私を、どうか許してください。


大好きよ。誰よりもずっと。

いつまでも。あなたに出会えて良かった。



どこか遠くで、あなたが素敵な誰かを親友と呼んで、幸せに暮らしていることを祈ります。



最後まで読んでくれてありがとう。




あなたの親友より


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