ノベルバトル~完結
⑶
「「はい」」
互いに間髪入れずに相槌をうつ。ここからすでに審査は始まっている。
「ではキャラクターを
田楽は間髪いれず創造キャラクターの作成を始める。
「俺はキャラクター名メルニームを創作。性格は内気だが健気。主人公の妹であり、結ばれない密かな恋心を抱くも、チャンスがあれば踏み込む、恋に生きる少女だ。
得意なことは家庭料理特に肉じゃが、家事裁縫ができる。だが、勉強がてんでできず、主人公によく勉強を聞きに来る。甘えるタイミングも主人公が自分を見てくれてないと感じた時に行動する。口調はですます調。
常に家では制服とエプロン。決めゼリフは『わたしじゃだめかな』」
「そこまでだ! まだかね? キミは」
俺は相手の出方を伺っていた為、審査員から催促される。
「キャラクター名 カレン。純情で人の言葉に信じやすく騙されやすいが、危ない所を主人公に助けられて以来、大体一緒に行動する。特異なフェロモンによりカレンの年齢の±5歳を無条件に引き付けてしまう為、護衛されている。好きな食べ物は苺。
白と赤のワンピースがお気に入りで長髪ロングで後ろ結び。口調は疑問形。
人を怖がり自信がないが徐々に主人公と接することで打ち解けていく」
「そこまでだ」
「はー疲れた」
「どう?勝てそう?」
「そこですぐに勝ったね、とか意味のない励ましをしないのはさすが俺の美雪」
「へへ、当たり前だよ、何年トナタの背中を見てると思ってるの」
「相手も強敵だった。さすが、チャラ男というべきか恋愛中心のキャラクターで攻めてくる。切なさと愛おしさのストーリーがあれだけで作れるな」
「え……じゃあトナタは?」
美雪が不安そうな顔になる。
「さあどうだか」
審査員の声が大声で鳴り響く。
「けっかはっぴょおおおおおおおおおおおおおおお」
「うるさいね、審査員」
「シッ、聞こえるぞ」
田楽が俺に耳打ちする。
「俺の勝ちだな、トナタ」
「お前、美雪がキャラクターって気づいていたか?」
「おいおい、いまさら嘘返しかよ、勘弁してくれ」
「それが敗因だな」
結果は言うまでもなかった。
俺は勝利して2回戦に上がったが、辞退した。
⑷丘の上、静かな風がそよぐ場所で美雪と寝そべる。
「きもちいいね」
「なあ、この世界って一体どんな意味があるんだ」
答えもだせずに、自分のキャラクターに聞いてしまう。
「うーん、わかんない」
「そりゃそうだな」
「……でも、それでいいんじゃないかな。意味なんてなくても
幸せがあって、そりゃ悲しくて辛いこともあるかもしんないけど」
「美雪を創ってよかったよ」
この世界を創ったかいがあるってもんさ。
ファンタジッククリエイターズ 新浜 星路 @konstantan
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