あとがき(淡々と書く)

「創作小説」はおそらく2010年か2011年頃に書いたもので、そのとき私は今の会社に転職したばかりで、そのときは車で通勤していて、土手のところを走っていて一瞬で話が閃いた。全部が垣間見える瞬間があるのである。それは単に自分の高校時代の記憶に、サセコの加藤を加えるというものだった。だから越川にも諏訪にも皆藤にもモデルがいるし、卒業制作で準大賞をとったのも、実際にあったことだ。ただし数人のグループで書いたので、本当に私の実力でとれたのかはわからない。


わかりづらいかもしれないが、話の途中に出てくるアユカとワタルはそれぞれ、加藤と越川のことである。安藤の書いている小説だとミスリードを誘った。実際安藤が書いている部分は「彼」「彼女」と記していて、名前は出てこない。アユカとワタルのエピソードは太字にしたかったが、このアプリにはそういう機能はなかった。


十年経って心境が変わったので、もう少し明るい終わり方をしたくて、越川のクズ度が増してしまった。最初のバージョンでは越川は自殺し、その葬式で加藤と再会する場面で終わる。ちなみにアユカも自殺するので、加藤とアユカは完全にはリンクしていない。あと、チカちゃんも出てこないので、加藤がサセコになった理由ももっと曖昧になっている。


私は2014年から5年間ブログを毎日欠かさず書いていたから、随分文章の感じが変わってしまった。だから、この小説の文章についてはかなり気にくわないところが多く、大幅に書き換えた箇所もあった。あまりにくどくど書いているから、最初から書き直すところもあった。私は淡々とものを書くようになった。例えば変に話し言葉になりすぎたり、あとは「しかし」みたいな接続詞や、「まあ」みたいな感動詞を極力使わないようにしている。そうすると文の個性が、消えるという人もいるが、その程度の個性は最初からないほうがいいのである。

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創作小説 fktack @fktack

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