私の墓

AREA ZERO

第1話

私の部屋にはいつの頃からか、

見知らぬスーツケースがあって。

いつどこで誰から、

どうやって手にいれたのか。

いつ誰がなぜ、

ここにこのようにおいていったのか。

忘れてしまって思い出せない。


変な夢を見るようになった。

私はなにかいけないことをして、

なにか証拠を土に埋めている。

なにを埋めているのかわからない。

気がかりばかり増していった。

ある日近所を散歩していると。

あのいつもなにか、

証拠を土に埋めているあの場所、

そっくりの場所に出くわした。

掘りおこさずにおれなくなっていた。

真夜中スコップを手に、

掘りおこしに向かった。

穴にライトをあてた。

私だった。

私の死体だった。


ある日近所を散歩していると。

あの私が私の死体を掘りおこす、

あの場所そっくりの場所に、

出くわした。

掘りおこさずにおれなくなっていた。

真夜中スコップを手に、

掘りおこしに向かった。

穴にライトをあてた。

私の死体ではなかった。

札束のぎっしり詰まった、

スーツケースだった。


私の部屋にはいつの頃からか、

見知らぬスーツケースがあって。

中には札束がぎっしり詰まっている。

いつどこで誰から、

どうやって手にいれたのか。

いつ誰がなぜ、

ここにおいていったのか。

忘れてしまって思い出せない。


ある日近所を散歩していると。

あの札束のぎっしり詰まった、

スーツケースを掘りおこす、

あの場所そっくりの場所に、

出くわした。

掘りおこさずにおれなくなっていた。

真夜中スコップを手に、

掘りおこしにむかうと、

すでに何者かが、

掘りおこした後だった。

あぜんとしてたちつくしていた、

まさにそのとき。

背後に人の気配を感じ、

振り向きざまライトをあてると、

そこにはスコップを振りかざした、

私が。

遠のく意識。

持ち去られるスーツケース。


私の部屋にはいつの頃からか、

見知らぬスーツケースがあって。

中には私の死体がはいっている。

いつどこで誰から、

どうやって手にいれたのか。

いつ誰がなぜ、

ここにおいていったのか。

忘れてしまって思い出せない。

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私の墓 AREA ZERO @tosiniyama

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