第6話

家でご飯が殆ど出てこない割に、私は太っていた。

だから私がネグレクトを受けて家での食事をあまり与えられていない事を知る人はいなかっただろう。

専門家では無い為よくは分からないが、前述した通り給食が頼みの綱だった当時は毎日吐きそうになるまでおかわりをして、余った給食のパンは根こそぎ持って帰ってパンばかり食べていたため炭水化物の摂りすぎだったのだろうか・・・

しかし、太い見かけによらず運動神経は意外と良かったため、球技大会で少しだけクラスで目立ってしまったばかりに、2人の男子から放課後に一緒にサッカーをしようと誘われた。

T君とO君だった。

学年で人気者の2人から声を掛けられ少々戸惑いはしたが、たまにならいいと返事を返し その日は日が暮れるまで3人で遊んだ。

それからというもの、同じクラスのT君とは席替えで隣になった事もありよく話すようになった。

お互いに苦手な教科をたまに教えあったり、サッカーをしない日でも公園で会えば2人で話したりした。

単純な私はまた、「あぁ、何て穏やかな時間なんだろうー。時々でもいいからこんな日がずっと続けばいのに・・・。」と思ってしまった。

そして球技大会から2ヶ月程経ったある日、クラスの女子に促されるまま屋上のドア前へ付いて行くとC子を中心とした数名の女子が待ち受けていた。

T君やO君と最近仲が良かった事が気に入らなかったらしい。

特にC子はT君が好きだったようだ。

「2人に遊んでもらったからと調子に乗るな!お前のような奴が仲良くして貰えるのはおかしい!何か裏があるんじゃないか?」と問い詰めてきた。

心当たりのない私は、素直にどうして仲良くしてくれたのか分からないと答えたのだが、バケツに入れた雑巾の搾り水をぶっ掛けられた。

チャイムが鳴り、皆は早々に教室へ戻って行ったものの私はハンカチで拭ける範囲を拭いて遅れて戻った。

それに対し担任は何も言わず「早く席に着き教科書を出すように。」とだけ指示した。

だが、私は教科書を机の上に出すことが出来なかった。机の中の物全てが無くなっていたのだ。

担任にその事を言ってみたものの「誰か𓏸𓏸の教科書を見た人は?」の問いかけに対し答える者など一人もいない。

その授業を含め残りの授業全てを私は廊下に立たされることとなった。

一つだけ救いだったのは、その日T君が風邪でお休みだったため、惨めな姿を見られずに済んだということだった。

そして、悪魔の学級会が始まるー。

「𓏸𓏸さんが教科書を忘れたからって、無くなったと嘘をついて皆のせいにされて、私達はとても傷つきました。クラスの皆に謝ってください。」

C子の発言から幕を開けたのだった。

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私って誰? らいむ @suteimu

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