第5話
4年生の冬ー。
友達のいない私は、独りで学校の休憩時間にマフラーを編み時間を潰していた。
「それどうやって編んでるの?」初めてクラスのK子に声を掛けられる。
ずっとクラスメイトから無視されていた私は、驚きと嬉しさのあまり「これは簡単なメリヤス編みで…棒は𓏸号で…」などと、ついお喋りになってしまった。
その翌日、K子とその仲間数名が同じように、教室で編み物を始め出したのだ。
前日のように会話することはないが、仲間と楽しそうに編み物をしているK子を見てとても嬉しかったのを覚えている。
入学して初めて教室が明るく見え、心が穏やかに感じられた瞬間だった。
こんな平和な日が続けばいいな…などと欲が出てしまった。
-そして6限目の学級会の時間。
とある議題を1人の女子が持ち上げた。
人気者のC子だ。
C子はその後もことごとく私を虐めてくる事になる。
「𓏸𓏸さんが、教室で編み物をしています!そんなものを学校に持ってきてしていてもいいのですか?編んでいる棒が目に刺さりそうになりとても怖かったです!やめさせてください!!」というのだ。
明るく見えた教室が一瞬にして元の薄暗さに戻った瞬間だった。
勿論 危険には配慮し、細くなった編み棒の先にはゴムのキャップをきちんと付け、編み棒がはみ出ないようスッポリと納まる大きめのファスナー付きの手提げバッグに入れていた私はその事を説明した。
しかし、皆で議論する事も無く担任は「危険なので教室で編み物をするのは禁止します。二度と持ってこないように。」と口にした。
そして、この担任は卒業するまで私のクラス担任で、翌年からは暴力を振るい出したのだった。
更なる地獄の始まりだ-。
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