第4話

 親子の縁を切りたいー

世の中にはそう思っている人がどれくらいいるのだろうか?

例え戸籍を抜いたとしても、親が歳を取り介護や生活の面倒がどうのこうのとなると必ず役所はコンタクトを取ってくる。

どんな経緯であっても戸籍上で親子なのだから面倒を見る義務が法律で定められていると脅すのだ。

 ならば、私が受けたネグレクトは法律に触れなかったのか?

家でのご飯をろくに与えてもらえず給食が頼みの綱である私は、クラスの残りのおかずを吐きそうな程お腹に詰め込み、パン等の持ち帰れる物は持ち帰っていた。

 兄のご飯はというと、きちんと作り置きされているのでレンジで温めればいつでも温かいご飯を食べていた。

 私のお風呂は一週間に一度入れればいい方だった。

兄が上がった後勝手に入ろうもんなら、裸で濡れたまま台所の裏口から外に放り出されたものだ。

夏は蚊に刺されるし、寒い真冬に出されるのもたまったものではなかった。

 私の服は洗濯してもらえない。

母は父が仕事から帰ってくる日に洗濯をしていたが、私の服は洗わない。

夏であっても汚れ具合を見て翌朝また着させられるのだ。

冬なら一週間は当たり前だった。

そして週末になると自分の服だけバケツで手洗いさせられていた。

 給食の残りを食べ尽くし持ち帰る、いつも同じ服を着ている、臭い、汚いー

そんな状況も重なり私はクラス全員から無視されていた。

担任ですらそうだった。

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