第6話、嵐の前の静けさ



あれから約1週間意外と何もない。そういえばあの神社は値段によって叶える願いが変わるけど回数は1回だけだったのかな。遥香はいつもの髪型に戻っていたし、天道さんもあの日ほどのスキンシップがあるわけでもない。なんとなく寂しい気もするが、美月はシャンプーをそのまま使っているらしい。そりゃまぁそうか、1回使ってそれっきりって事はないだろうし、

マサはあれ以来琴子さんに会えていないらしい。何度もあの神社に行ってるが何故かいないらしい。彼女達が人の願いを知れる事が仇になってしまったようだ。

ガラガラッ

教室の扉が開き担任の三木が入ってくる

「オラー、えー今日はみんなで文化祭何やるか決 

 めるぞ〜」

なんとなくダルそうに言ってるから、なんでもいいよと思っているんだろう。

みんなが色々な意見を出す。劇、喫茶、お化け屋敷等々、なかなか決まらない

するとマサが

「もう腹減ったから、みんなが今何食べたいか聞

 いてそれにしない?」

こいつはたまにすごい事言うな、だが全く決まらなかったので意外とみんなも「それでいいか」と言う雰囲気になっていた。これでいいのか?

結局焼きそばになった。昨日テレビでやっていた焼きそばを思い出して食べたくなった人が多かったらしい。

「昨日やってた焼きそば美味しそうだったもん

 ね〜」

「ね!私もあんなの作ってみたいよ!」

「美月なら作れるんじゃない?料理よくやってた

 よね?」

「うーん...普通のは作れるけどお店に出すような

 ものじゃないしなぁ...」

「じゃあ美月のを元にしてどんどん改良してけば

 いいんじゃね?」

みんなそれが良いとなり、料理長美月でやっていくことになった。

今日はすごいマサが積極的に意見出すなぁ、こう言うの好きそうだもんな。レストランぽくしたいのでウェイターとウェイトレスを何人か決め、その日の話し合いは終わった。

天道さんと遥香はウェイトレス、マサと僕は店内のデザインを考える事になった。

「みんなどんどん忙しくなるから遊べんなぁ」

「うーんまぁちょくちょくみんなのところには遊

 びに行くよ」

そういえば夏鈴ちゃんのクラスは何をするんだろうこの後神社行った時に聞いてみよう。


放課後


授業が終わり片付けで教室を出ようとすると天道さんから声をかけられた。

「颯くん、この後予定ある?よかったら一緒に帰らない?美月ちゃんも遥香ちゃんも部活だから」

「うん、いいけどこの後僕スーパーに行って神社に寄るから途中までになっちゃうけどいい?」

「そうなの?楽しそうだから私も行く!」

油揚げ渡せるか心配になってきた。

2人でスーパーに行って油揚げを買う。天道さんはものすごく不思議そうにこちらを見ていたけど気にしたら負けだ。そういえばなんとなく天童さん以外の誰かから見られている気がする。まぁいいか

「学校には慣れた?」

「うん!みんなともっと遊びたいと思うしね笑」

「よかった、そう言ってもらえると嬉しいよ笑」

すると天道さんの携帯が鳴り電話に出て慌て出した。

「ごめん、颯くん!今日予定あったっぽくてここ

 で失礼するね!また明日ね!」

「う、うん!また明日!」

あまりに突然のことすぎて反応が遅れてしまった

まぁ1人の方が油揚げ渡しやすいしよかったのかな。あれから毎日神社に行くようにはしてるけど

あの2人食べ過ぎじゃないか...?これからは1日分ずつ渡して行こう。

神社に着くとマサがいた。

「マサ?何してんの?」

「お、颯じゃん、最近毎日ここに通って参拝して

 るんだよ」

「...琴子さん?」

「そりゃそうだろ笑、まぁ今は小さい願いごとか

 らコツコツと願ってるよ笑」

なんか最近成長した気がするこの男。

「あ、颯さんマサさん、こんにちは」

「好花さん、どーも!」

「こんにちは、好花さん」

「今日はお二人はどういったご用件で?」

一瞬僕に近い方の好花さんの耳がピクッとした。

一応僕がきた理由は分かってるっぽいけど今渡す訳にはいかないからなぁ...

「偶然ですよ、俺はいつものお願い事、颯は?」

「僕もお願い事かな、文化祭の成功を願ってね」

「お二人の願いが叶うといいですね!」

「なら一緒に帰ろうぜ?願い終わるの待っててや

 るから」

「オーケー、じゃあ先下で待っててよ、やってくるから」

「ん、了解〜、んじゃ好花さんまた!」

「はい!お待ちしております!」

マサが階段を降りていくのを確認して好花さんに

油揚げを渡す。

「バレずに済みましたかね?」

「多分大丈夫だと思います。そういやマサの願い

 は小さいものになったんですか?」

「はい!最近会えてなかったっぽいのでただ会う

 事を願ってますよ笑」

「ならよかった、あ、今度から油揚げは1日分しか

 渡さないのでそのつもりで」

「えっ!?なんでですか!?」

「一気に食べすぎです、こっちのお金がギリギリなんですよ」

「なるほど...一気に食べたのが悪かったですね」

「まぁ毎日来る予定なので」

「なら安心です!」

「んじゃ僕もそろそろ」

「はい!ありがとうございました!」

階段を降りる途中琴子さんと夏鈴ちゃんが階段を登ってきたのがわかった。

「こんにちは、夏鈴ちゃん琴子さん」

「あ、颯さん、こんにちは」

「やっほー5円さん」

「琴子さん、ちゃんと名前で呼ばなきゃダメです

 よ」

「はーい、」

多分呼ばないだろうな、もう慣れたからいいんだけど

「そういえば、夏鈴ちゃんのクラスは文化祭何やるの?」

「...クラスの男子の猛プッシュによってメイド喫茶になりました」

ものすごく暗い顔になった。本当に嫌なんだろうなぁ

「そっか...じゃああまり行かない方がいいのかな?」

「恥ずかしいので...私がいないときにでも来てく

 ださい」

「うん、わかった、楽しみにしとくね、じゃあまた」

「はい!また!」

「ばいばーい、ご...やてさーん」

やっぱりまだ慣れないみたいだ

「おーい遅いぞ、ごやて!」

誰がごやてじゃ

その日はそのまままっすぐ帰った。マサは琴子さんに会えたのが嬉しかった中これからも毎日行くようだ。偉いのかな、琴子さん頑張れ


〜天気雨神社〜


「琴子さん!夏鈴さん!お帰りなさい!颯さんにはお会いしました?」

「はい、文化祭のお話しました。」

「そういえば夏鈴ちゃん何やるの?」

「さっき言ったじゃないですか。メイド喫茶です

 よ...」

「メイド喫茶ですか!写真撮らなきゃですね!」

「ダメです!絶対ダメです!」

「写真、5円さんに見せなきゃね」

「絶対ダメですー!!!」

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オリジナル小説(妄想の塊) 風のレッサー風太 @Futa1201

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